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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第5章 さらば、もう一人の友よ


何故アギト達が王都にいて、あんな事をしている…?



…! ま、まさか…


そのまさか。
アギトはジェラールの作戦を知っていたからこのような演出をしているのだ。


『(へっ、お前が死ぬ事を賛成するワケねぇだろ)』


まずウェンディを治癒し、二人でナツとガジルを治癒した。
そして三人にジェラールがしようとしている事を説明し、この演出の事を言った。
それに賛同してくれ、今に至るのだ。

アギトは左手首に嵌めてある腕輪をジェラールに見せた。
それを見たジェラールはハッとする。

その腕輪は…ジェラールがアギトにあげたものだから。


『強靭と聡明の精霊よ 汝と汝の眷属に命ず
 我が身に纏え、我が身に宿れ
 我が身を大いなる魔神と化せ! ガイア!!』


金属器を発動したアギトはガイアを魔装する。
その様子を見た群衆は見たことも無い魔法に恐怖する


「なんだアレ!?」
「髪が…色が…変わった!?」
「大魔王の本当の姿か!?」


『…来いよ 来ねぇとこの街を跡形もなく消してやるぜ』

「く、…っ」


風に靡く服を翻しニヒルな笑みを浮かべて挑発し続けるアギトを見て、リリーは唖然とその場に佇む。

今まさに、この状況こそが<英雄>が生まれる瞬間なのではないのか、と…。

エドラス王ファウストを討ち取り、エドラスの全魔力を奪い、街を破壊し続けているアギト達こそが<悪役>。

それを倒した者こそが<英雄>

しかし、群衆達はまだジェラールを信用していない。


「アギト! そこを動くな!!」

『アギトではない 大魔王エリュシアンだ!』


城の手すりに手を付き、王都へと飛び降りるジェラール。
そして瓦礫が転がる道を駆け抜け、自分を迎え入れるかの様に腕を組んで佇んでいるアギト達の元へと走る。
街の者たちはその背を唖然と見送るだけだ。


「馬鹿者め…お前のやろうとしている事はわかっている!
 だがこの状況を収拾出来るわけがない」

『へへっ』

「眠れ…! なっ!?」


杖の魔力を解放し、得意の催眠魔法をアギトへと放つジェラール。
だが放たれた魔力はすぐさま頭上に開いたアニマへと吸収されてしまう。




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