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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第5章 さらば、もう一人の友よ


『もっと街を破壊するんだー下僕共ぉー!!』

「下僕下僕うるせぇぞこのヤロウ!」

<<だって面白いんだもーん>>

「楽しんでやがる…」


ガジルの文句に念話で応えるアギト。
そしてガジルはその応えに溜め息を吐く事になる。


「アイツ等が…アイツらがエドラスの魔力を奪ったのか!?」
「大魔王エリュシアン!」
「許せねぇ!」
「魔力を返せー!」


『…やだねぇ 俺様に逆らう者は全員…』


ゴォォとアギトの周りの温度が上がって行く。
…次の瞬間、アギトは群衆の目の前で空目掛け勢いよく炎を吐き出した。

この世界の人間はアースランドの人間とは違い、体内に魔力を持っていない。
つまり口から火を吐く事など絶対に有り得ず、見た事もないのだ。


「ひぃぃ」
「な…何だアレ!?」
「口から火が!?」


『炎はお嫌いで? じゃあこれでどうだ!!』


アギトが手を前に出すと、雷が放たれて建物を一瞬で粉砕した。


「こんどは雷!?」
「バ…バケモノ!」

『ハッハッハー!』



「よせーー! アギトー!!」


『(ニヤリ)』


何処からか聞こえてた制止を叫ぶ声に一瞬、静まり返る王都。
笑みを浮かべながら振り返ったアギトの目に映るのは城の手すりから身を乗り出している碧髪の男…ジェラール。
その姿に群衆たちは「あれは誰だ?」とざわめき出す。


『ヘヘ、俺様は大魔王エリュシアンだ!』

「馬鹿な真似はよせ! 王は倒れた…これ以上王都に攻撃など…」

『"邪竜の飛爪"!!』

「っよせ!!」


ジェラールを無視し、王都へ黒い刃を放つ。
そしてニヒルな笑みを浮かべながら挑発する。


『てめぇに俺様が止められるかなぁ? エドラスの王子さんよぉぉ?』

「王子!?」
「王子だって!?」

「七年前に行方不明になったジェラール王子!?」

「まさか…本物のわけないよ…!」
「ど…どうだろう」


城まで届く群衆の声にジェラールはぐっ、と息を呑み、冷や汗を流す。




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