第5章 さらば、もう一人の友よ
それは大気圏さえも超える跳躍力でブレスを軽々と避けたドロマ・アニム。
そのあまりの機動力に三人は目をこれでもかと見開いて驚く。
「あんなに跳躍力があったのか!?」
「そんな…三人同時の咆哮が当たらない…」
「もう一度だ!」
[させんよ! 竜騎拡散砲!]
三人にブレスを撃たせまいと、ファウストはそのままの高さから魔力を帯びた拡散弾を無数に発射する。
忽ち雨の様に三人に降り注ぐ拡散弾。
[尽きた様だな いくら無限の魔導士といえど、一度尽きた魔力は暫くは回復せんだろう
大人しく我が世界の魔力となれ 態度次第ではそれなりの待遇を考えてやっておよいぞ」
竜騎拡散砲で立ち上がる砂煙は未だに晴れない。
そんな中ファウストは勝ち誇った様に言った。
『誰がどうなれって?』
[!?]
背後からこの場にいなかった男の声が響いた。
そして砂煙が晴れると…
そこには誰もいなかった。
『何処を見ている "俺達"は此処にいるぜ』
声がした方に振り向いた。
するとそこにはナツをウェンディを抱えたアギト、
ガジルを抱えたアギトがいた。
[貴様っ、二人だと!?]
『アースランドの魔法さ』
アギトがナツとウェンディを座らせ、もう一人のアギトがガジルと地面に座らせた。
すると、ガジルを抱えていたアギトは霧の様に姿を消した。
ガジルを抱えていた方のアギトは思念体だったのだ。