第5章 さらば、もう一人の友よ
<side out>
「ぐ、…」
「っ…」
「…、ぅぅ…」
崩れ落ちた瓦礫の上に倒れ込み、痛みに顔を歪ませているのはナツにガジル、そしてウェンディ。
その三人の目の前には強化装甲は黒に染まり、エドラスの魔力を吸収し続けているドロマ・アニム。
これが竜騎士ドロマ・アニム黒天の姿だ。
[フハハハハッ! 地に堕ちよドラゴン!
絶対的な魔導兵器ドロマ・アニムがある限り、我が軍は不滅なり!]
「ぐぅ、…!」
「、…!」
「…ッ…」
ファウストの高らかな声に歯を食い縛り、地面に手を付いて重い体を何とか起こそうと踏ん張る三人。
だが、ダメージを受け過ぎた体はそう簡単に言う事を聞いてはくれない。
[もっと魔力を集めよ! 空よ、大地よ! ドロマ・アニムに魔力を集めよ!]
「、っ…火竜、ブレスだ!!」
「!」
「ガキ、お前もだ!」
「さ…三人同時に!?」
ガジルの提案に驚きと戸惑いの声を上げるナツとウェンディ。
「何が起こるかわからねェから控えておきたかったが…やるしかねぇ!!」
「わかりました!!」
「おし!!」
三人は力を振り絞って立ち上がり、それぞれ己の内で溢れる魔力を口に溜める。
「火竜の…」
「鉄竜の…」
「天竜の…」
そして、
「「「咆哮!!!」」」
三頭の竜の咆哮がドロマ・アニムを襲った。
[ぬぉっ!?]
そして次の瞬間、辺り一帯は轟々と燃える爆炎に包まれ、数キロ先までその爆発音を轟かせた。
竜を滅するための圧倒的な攻撃魔法、ブレスを、しかも三人分も喰らえばいくら強化装甲と言えど一溜りもあるまい。
「やったか…」
「ヘヘ…」
「…、…」
モクモクと天へと立ち昇る黒煙の源を睨むように見つめ、此処でやっとフッと笑みを浮かべるナツ達だったが…
[――――フハハハハハッ! く、ふふははハハハハハ!]
「上だ!」
突如頭上から聞こえて来た大きな笑い声に空を仰げば、遥か遠くにある黒い点を三人の目が捉えた。