第5章 さらば、もう一人の友よ
ナツにガジル、ウェンディがファウストが搭乗するドロマ・アニムと闘っている様子を、木に凭れて見ている男がいた。
「…すまない、ナツ」
申し訳なさそうに謝ったのはジェラールだ。
その隣ではアギトが天空魔法でジェラールの傷を治癒し、後ろでは、怪我をしたリリーとそれを支えるエクシードの少女がいた。
「王子…何の真似ですか貴方はさっきわざとやられた」
「……」
リリーの言葉にジェラールは口元に笑みを浮かべ、ゆっくりと後ろを振り返る。
「俺を、助けるために…?」
「怪我は大丈夫か?」
「これくらい何とも…くっ!」
『こーら、もう少しだからじっとしてな』
気丈に振舞っていても、受けた傷は大きく深い。
痛みに顔を歪めるリリーに眉を寄せながら、ジェラールは再び闘技場へと目を向ける。
「ドロマ・アニムはナツたちに任せるしかない…私達にはやる事がある」
「やる事?」
「最後の仕事だ それには君の力が必要になる」
「、…」
『だからって、』
「痛っ!」
ジェラールの額にデコピンしたアギト。
地味な痛みにジェラールは眉を顰める。
「な、何する…」
『それはこっちのセリフだ 俺を庇ってんな怪我するな!』
「す…すまない」
『本来なら色々やりたいところだがクロスがいるから我慢する
はい、終わったぞ リリーも来いよ』
「冗談に聞こえない…」
ジェラールの治癒は終わり、リリーに来る様に促す。
リリーはと言うと「すまない…」と言って木に凭れる。
アギトはリリーの傷にも天空魔法で治療した。