第5章 さらば、もう一人の友よ
<side out>
緊迫の空気が流れる中、ファウストが搭乗するドロマ・アニムはその口をガパッと開いた。
そして周りに控えている王国軍に大音量で命令を下す。
[我が兵達よ、エクシードを捕えよ!!]
「「「はっ!!」」」
「マズイ! 逃げるんだ!!」
「「「わーーっ!!」」」
「逃がすなーっ!!」
焦ったジェラールの言葉を受け、一目散に逃げ出すエクシード達。
だがそれをナイトウォーカー率いる兵が追い掛ける。
そして、各々手にした銃の様な武器…魔力化砲(マジカライズキャノン)を充填し、エクシード達へと一気に放った。
「うわー!」
「…!」
「逃げろー!」
放たれた光に触れたエクシードはラクリマへと姿を変えてしまった。
「みんな…逃げて…!」
「シャゴット! 私達も行こう!」
「その通りだ! 早く逃げろ女王様! お前等も早くしろ!」
「ルークっ…皆…生き延びるのよ!」
逃げ惑うエクシード達を先導するかの様に声を張るルーク。
だが、パニックに陥ったみんなの耳にそれは届かない。
チッ、と舌打ちを溢したルークは手に持った長弓を兵達が持つ魔力化砲へと引き放つ。
「ぐわっ!」
「魔力化砲が!?」
「く…ルーク貴様ぁ…裏切り者の堕天め!」
「アギトのおかげで思い出したんだ!
俺は国に仕えてるんじゃねぇ、ジェラールに仕えてるんだ!!」
自分に居場所をくれたジェラールの為に国に従えていた。
しかし七年前アースランドに行ったため、何故自分が国に従えているのかを見失う時期があった。
その度にエドラスのアギトが…クロスがルークに会いに行っていた。
「相手がエルザといえど、ジェラールの邪魔をするなら容赦しねぇ!」
覚悟を瞳に宿したルークに恐れるものは何一つなかった。
次々に魔力化砲を正確に撃ち抜き、破壊していくルーク。
そんなルークにナイトウォーカーがレギオンの背で鎗を構え、狙いを定める。
国に仕える者と王子に仕える者の視線が交わったのだった。