第5章 さらば、もう一人の友よ
「アギトっ…」
俺の感情が伝わったのか、ジェラールがギュッと拳を握る。
「…貴方のアニマ計画は失敗したんだ もう闘う意味などないだろう」
[意味? 闘う意味だと?]
『、…これは…魔力』
鼻で笑った様な声の後、突然妖しく光り出す地面。
それに連動するかの様に、その周辺からゴゴゴと地響きの様な音が鳴り響く。
強大な魔力が大気を揺らしているのか…!
[これは闘いではない 王に仇なす者への報復…一方的な殲滅!]
「な…何アレ!?」
「!!」
[ワシの前に立ちはだかるつもりなら、たとえ貴様であろうと消してくれる
跡形もなくなぁ]
「父上…」
[父ではない ワシはエドラスの王である
そうだ…貴様を此処で始末すればアースランドでアニマを防げる者はいなくなる
また巨大なラクリマを造り上げ、エクシードを融合させる事など何度でも出来るではないかぁ]
―――ブチッ
俺の中の何かがキレた。
『ざけんじゃねぇよクソ野郎が!
たった一人の息子を大切に思えないヤツが国だのなんだのほざくんじゃねぇ!!
ジェラールに手は出させねぇ…俺が守るって決めたんだ!!』
「アギト…」
エドラスもアースランドも関係ねぇ。
両方のジェラールに会った時、俺はどちらのジェラールも"ジェラール"なんだって思った。
だから俺は"ジェラール"を守るって決めたんだ!
[ほう…何故そやつにそこまで肩入れするのかは知らんが…じゃが!]
ドラゴンを模した様な巨大兵器がゆっくりと姿を現した。
[王の力に不可能はない!! 王の力は絶対なのだ!!]
まるでアイツに共鳴するかの様に地を、大気を揺らす巨大な咆哮。
「ドロマ…アニム…」
「ドロマ・アニム…こっちの言葉で"竜騎士"の意味…ドラゴンの強化装甲だと!?」
「ドラゴン…」
「言われてみればそんな形…」
「強化装甲って何!?」
「対魔戦用魔水晶(ウィザード キャンセラー)が外部からの魔法を全部無効化させちゃう搭乗型の甲冑…!
王様があの中でドロマ・アニムを操縦してるんだよぅ!」
『魔法を無効化…』
少女の訴える様な説明に口元がヒクリと引き攣る。
もしそれが本当なら…
どうやってあれを倒せば良いんだよ。