第5章 さらば、もう一人の友よ
<アギトside>
アレがエドラスのエルザ…やっぱ敵だったのか。
「スカーレットぉおお!」
「ナイトウォーカー…!」
宣戦布告にも聞こえるナイトウォーカーの声に戦闘態勢に入ろうとするエルザ。
…が、それをジェラールが「待て」と手で制した。
「エドラス王国王子である私に刃を向けるつもりか、エルザ・ナイトウォーカー!」
「くっ…」
ナイトウォーカーにとって王子は目上の存在であるため、刃を向ける事、それ乃ち反逆となるのだ。
思わぬ人物の登場に動きを封じられる王国軍。
だが、
[ワシは貴様を息子などとは思ってはおらん]
「!!」
「王様の声!?」
「何処!?」
緊迫の空気を破る様にして突如聞こえて来た機械を通した様な王様の声。
気のせいか、その声は地中から響いているように聞こえる。
[七年も行方を眩ませておいて、良くおめおめと戻って来れたものだ
貴様がアースランドでアニマを塞ぎ回っていた事は知っておるぞ 売国奴め]
『そんな事どうでも良いんだよクソジジイ!
うだうだ抜かしてないでさっさと姿を現しやがれ!』
「そうだそうだー!」
とても一国の王とは…父親とは思えねぇよ。
家族だろ…たった一人の息子だろ。
俺に血の繋がった家族はいねぇ…だけど…アンタにはいるんだろ。
何でそんな…っ…酷い事を普通に言えるんだよ!!