• テキストサイズ

闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第5章 さらば、もう一人の友よ


「……」


目を細め、沢山の白い翼を見つめるリリーの脳裏に甦る、エクスタリアを追われた日の記憶。



(リリー! 何故人間の子供などを救った!?)

(大きな怪我をしていたので…)

(馬鹿者! それをエクスタリアに連れてくるなど何たる不始末!)

(しかし…人間とはいえ怪我をしている者を放っておけません!)

(掟を忘れたわけじゃあるまいなリリー!)

(貴様を堕天としエクスタリアから追放する!)


救った人間の子供と共にエクスタリアを去り、そのまま王国に与した自分。

それでも心は…



「ああ…!」

「女王!?」


片翼では満足に飛行する事が出来ず、何も抵抗出来ずに落下して行くシャゴット。
…と、その華奢な体を大きく逞しい腕がしっかりと抱き留めた。


「、リリー…」

「女王様、ウソを吐くのに疲れたのかい?」

「…ごめんなさい…私…」

「俺もさ…」


シャゴットの言葉を遮ってリリーは口を開いた。
その目には涙が溢れていた。


「どんなに憎もうとしても…エクスタリアは俺の国なんだ」

「リリー…」

「けど、もう無理だ…これだけのエクシードが束になっても、コイツは止まらねぇ!!
 すまねぇ! 俺のせいだ…俺なら止められた…人間達を…止められたんだ!!」

「思いは、きっと届くわ…!」



「止まれえぇええええーーっ!!」

「みんな頑張れー!」

「押せー!」

「俺達なら出来るぞー!!」

「くそ…」

「んー!」

「ギイィィ!」

「私達も押すのよ!」

「あいさ!!」

「お願い! 止まってぇぇっ!!」


この場にいる者たち全員が一丸となり、強大な力で押し迫る浮遊島を全力で押し返す。



そして、



「…浮遊島が…押し返されていく…」



みんなの思いは大きな力となり、遂に浮遊島からエクスタリアを守り抜いたのだ。




/ 510ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp