第5章 さらば、もう一人の友よ
だがルークは吐き捨てる様に言った。
「そんなもの…詭弁だ」
「ルークさん…」
「…そうよ、アンタに力があろうがなかろうが、私の仲間を殺す様に命令した! それだけは事実…!」
「シャルル…」
「シャゴットはそんな命令をしておらん!
きっと女王の存在を利用した人間達の仕業…」
「じゃあアギトは!? 捕まえ次第処刑って言ってたじゃない!!
変な記憶を植え付け! 私の心を操り!
滅竜魔導士抹殺を命じたでしょ!? 生まれる前からっ!!」
「それは…」
「ち…ちち…違うんだ! これには話せば長くて深い事情が~~!!」
「どんな事情があってもこれだけは許せない!!」
「シャルル…今はその話はよそうよ…?」
「アンタはいいのウェンディ! アギトはアンタの命の恩人だって言ってたじゃない!
コイツ等はアンタの大切な人を殺そうとしたのよ!?」
「そ、れは…」
シャルルの悲痛な叫びに押し黙るエクシード達。
…と、カシャンッという金属音がふいに鼓膜を揺らした。
驚きに視線を向ければ、剣を抜いたシャゴットが目に入った。
「、…!」
「シャルルさんの言い分はご尤もです
貴女には何の罪もない なのに、一番つらい思いをさせてしまった」
投げられた刀剣はシャルルの足元に転がり、その表情を反射した。
「ルーク…貴方でも構いません 貴方達二人にはその権利がある…!」
「「、…」」
その場に跪き、己の首を差し出すシャゴットを唖然と見つめるルークとシャルル。
だが、ふとルークは目を伏せ、溜め息を吐きながら首を竦めた。
「興味ねぇ 今更女王様を裁いても何にもならないしそんな権利もいらない
だから…アンタに譲るよシャルル」
「……」
ルークの言葉を受け、落ちていた剣にゆっくりと手を伸ばすシャルルをウェンディが諫める様に呼ぶ。
周りから上がるエクシード達の嗚咽交じりの涙声が上がる。
「さぁ、みなさんは此処から離れて!
私は滅び逝くエクスタリアと運命を共にします!」