第5章 さらば、もう一人の友よ
<side out>
城の廊下を歩く音とガシャガシャと金属の音が響く。
まだ城内にいた王国兵達は皆その音に目を向く。
そして、驚愕の表情に染まる。
「ル、ルーク隊長…その者は…?」
王国兵のうち一人が問いかけた。
金属音の正体は武装したルークで、鎧の音だった。
そしてルークの手には銀髪の負傷者がいた。
「エクスタリアから処刑を命じられた闇の滅竜魔導士だ」
そう、ルークの手中にアギトがいた。
服が所々破け、体中傷だらけで口元には血を吐いた痕もある。
「隊長が倒したのですか!?」
「いくら滅竜魔導士とはいえ魔法を封じてしまえば手も足も出ない
そこを俺が捕らえただけだ」
「流石隊長!」
「魔戦部隊のハンターだ!!」
「ははっ、そう騒ぐな コイツが起きるだろ?」
「大丈夫ですよ、そんだけボロボロなら起きたところで動けないでしょ」
「そうそう」
「油断すんなよ おいお前、俺と一緒に牢へ来てくれ」
「はい! しかし何故牢なのですか?」
「この者は危険だからエクスタリアの女王が直々に処刑する
それまで城の牢で閉じ込めておくよう言われたからな」
「女王直々ですか…」
「わかりました!」
ルーク後を一人の王国兵が付いて行った。
牢に着いたルークと王国兵はアギトの両手両足に枷を嵌め、牢の鍵を閉める。
「もしもの為に見張りを頼む」
「任せてください!」
そう言うとルークは牢を出て、王国兵は牢を背中にして見張りをする。