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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


ガチャンと鈍い音を立て、頑丈な枷がジェラールの両手首に填められる。


「ジェラール・フェルナンデス、連邦反逆罪で貴様を逮捕する」

「待ってください! ジェラールは記憶を失っているんです!
 何も覚えてないんですよ!?」

「刑法第十三条により、それは認められません」


ウェンディの必死の声も虚しく、感情の困っていない声でラハールが冷たくそう言い放つ。


「もう術式を解いていいぞ」

「はっ」

「で…でも!」

「いいんだ 抵抗する気はない」


助けたい一心でなおも反論しようとするウェンディだが、それはジェラールによって止められた。


「君のことは最後まで思い出せなかった…本当にすまない、ウェンディ」

「…この子は昔、アンタとアギトに助けられたんだって」

「そうか…俺は君達にどれだけ迷惑を掛けたのか知らないが、誰かを助けたことがあったのは嬉しいことだ」


シャルルの言葉を聞き、悲しそうに、だが少しだけ嬉しそうにそう言うジェラール。
ジェラールは微笑を浮かべながら皆の顔を見渡し、エルザでその目を止める。


「…エルザ、色々ありがとう」

「……」


名を呼ばれてもエルザは視線を外したまま反応を示さない。
それでもジェラールは感謝の微笑み浮かべた。



そんな中、ラハールは何故かアギトに近付いて行く。




「アギト様、」

『あー…』



ラハールはアギトに…跪いた。



「お久し振りでございます ご無事で何よりです」

『だーかーらー! 様なんていらねぇっつってんだろ
 いい加減その謙遜した態度もやめてくれよ…』

「お前、アギトの知り合いなのか!?」

「評議院に来られる時お世話になっている
 アギト様は評議院直々に闇ギルド殲滅や討伐の依頼を受けて頂いているのだ」

『そゆこと』


みんなが驚きながらも納得する中、アギトは真っ直ぐラハールを見ていた。


『要件はわかっている 抵抗はしない』

「任意ですが…ご同行感謝致します」


ラハールは部下の者から手枷を受け取り、


アギトの手首に嵌めた。




「闇ギルド接触の疑いで、貴方を連行します」



それを見た周りの者達は目を見開いた。


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