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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


「オイラ達何も悪いことしてないよっ!」

「お…おう!」

「そこはハッキリ否定しようよ…」


また何かしてしまったのかと焦りに震えるナツに、ラハールは表情を変えぬまま、存じていると告げる。


「我々の目的は六魔将軍の捕縛
 そこにいるコードネーム、ホットアイをこちらに渡してください」

「なっ…待ってくれ!」

「いいのですよ、ジュラ」


ラハールたちを止めようと前に出るジュラに評議院の兵達が槍を構える。
しかし、ホットアイ本人がそれを止めた。


「リチャード殿…」

「たとえ善意に目覚めても過去の悪行は消えませんです
 私は一からやり直したい
 その方が弟を見つけたとき、堂々と会える!デスヨ」

「…ハハ、ならばワシが代わりに弟を探そう」

「本当デスか!?」


ジュラの言葉に驚き、だが嬉しそうに声を上げるホットアイ。
そんなホットアイにジュラは笑みを浮かべながら力強くあぁ、と頷く。


「弟の名を教えてくれ」

「名前はウォーリー、ウォーリー・ブキャナン」

「「「…ん?」」」

「ウォーリー…!?」


その名前には聞き覚えがあり、あれ?と首を傾げるナツ達。
脳内で響き渡る、「だゼ!」という口癖。

「「「四角ーっ!!」」」

「…アイツは…ウォーリーは、本当に素直で…優しい弟でした」


昔を懐かしみ、弟との思い出に馳せるホットアイのその顔は優しい兄のものだった。
そんなホットアイにエルザが一歩前に出て、その口を開いた。


「その男なら知っている」

「なんと…!?」


エルザの声に驚愕の表情を浮かべ、バッと振り返るホットアイとジュラ。
そんな二人にエルザはフッ、と柔和な笑みを浮かべる。


「私の友だ 今は元気に大陸中を旅している」

「っ…あ、あぁ…これが…光を信じる者だけに与えられた奇跡と言うものデスかぁ…っ…ありが…と…ありがとう…!」


嬉しさのあまり、その場に泣き崩れるホットアイ。
その口からは何度もありがとう、という言葉が零れた。

鈍い色を放つ枷に手を繋がれ、護送馬車へと連行されていようとも、ホットアイのその表情は実に清々しいものだった。


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