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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


『俺がついている』

「…!」


ジェラールの頭を優しく撫でるアギト。
驚きに目を見開くジェラール。
アギトはジェラールを安心させる様にフッと笑を浮かべた。
そんなジェラールにエルザは口角を上げ、寄り掛かっていた岩から背を放した。


「…私達、の間違いだろ? ジェラール、お前の傍には私も、アギトもいる」

「……」

「たとえ再び憎しみ合うことになろうが、今のお前は放っておけない」

『お前は何も心配しなくていい 守ってやるからな』

「エルザ…アギト…」


二人の言葉に今にも泣きそうな顔をするジェラール。


「…あ、」

『「?」』


突然エルザが何かを思い出した様に声を上げた。
エルザの行動に、アギトとジェラールは揃って首を傾げる。
エルザはガサゴソとポケットから何かを取り出した。

エルザの掌に乗せられているものを見ても二人は?を浮かべる。
乗せられていたのは、聖十のマークが入ったバッジとチェーンだった。

「アギト、返すよ」

『あー、そっか』

アギトもコートのポケットに手を入れる。
アギトが取り出したものも聖十のバッジだった。
しかしエルザが持っているものと違って所々が歪み、傷だらけで本来はジェラールのものだった。


『ジェラール、返すよ』


エルザとアギトの約束は、ジェラールにバッジを返すまで持っててくれと頼んだ事だった。

アギトはジェラールに差し出すが、ジェラールは困ったような顔をする。
受け取っていいのか悩んでいるようだ。

そしてフッと笑みを浮かべ、首を横に振った。


「それはアギトが持っていてくれないか?
 受け取るのは記憶が戻ったときがいい」

『そうか…わかった じゃあエルザ、もう少し任せていいか?』

「承知した」


穏やかに笑い合う二人を見、エルザはフッと笑みを浮かべる。


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