第4章 再会と離別を同時に
その頃、6の番号のラクリマがある部屋。
そこはジェラールとアギトが向かうハズだった部屋だ。
「本当に出来るの? ウェンディ」
「これは私がやらなきゃいけない事なんだ」
ウェンディは破壊の魔法が使えないと言っていた。
しかしこの場にいるということは、この部屋のラクリマを壊す為という事になる。
何故ウェンディがこの部屋にいるのか…それは少し前に遡る。
*
「ジェラール、具合悪いの?」
急に立ち止まり、向かい合ったまま動かなくなったジェラールを不思議に思い、窺うように見るウェンディ。
「いや…君は確か、治癒の魔法が使えたな…?」
「え、あ…うん」
「ゼロと闘うこととなるナツの魔力を回復できるか?」
「そ、それが…」
ジェラールの言葉に眉を下げ、口籠るウェンディ。
その様子を見兼ねたシャルル代わりに口を開く。
「何馬鹿なこと言ってんの! 今日だけで何回治癒魔法を使ったと思ってるのよ!
これ以上は無理! 元々この子は…」
「そうか…ならばナツの回復は俺がやろう」
「「え、」」
ジェラールの言葉に素っ頓狂な声を上げるウェンディとシャルル。
『ジェラール…治癒魔法が使える様になったのか?』
「いいや、ナツは炎の滅竜魔導士だ 炎を食べれば回復出来る
だからアギトは6のラクリマを壊しに行ってくれないか?」
『大丈夫なのか…?』
「思い出したんだ ナツという男の底知れない力、希望の力を」
『…そっか、わかった』
「頼んだぞ」
ジェラールは何故かこの会話が懐かしく思えた。
やはり自分はアギトと親しくしていたのだろうか、と思う。
しかし今は一刻を争う為、ジェラールはナツの元へ向かった。