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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


「哀れだなジェラール…ニルヴァーナは私が頂いた!」


両腕を広げ、そう高らかにブレインが告げた。



「目覚めよニルヴァーナ!!

 姿を現せぇえええ!!」


「おおおっ!!

 聴こえるぞ! 俺達の未来が!

 光の崩れる音があっ!!」


辺りの地面が次々と崩壊していく。


このままではアギトもジェラールも、エルザも瓦礫に埋もれてしまう。
エルザとジェラールは今だ目を覚まさないアギトを助ける為駆け寄ろうとする。

しかしエルザは瓦礫に足を取られてしまった。


「アギトっ、エルザ!!」

「ジェラール!!」


崩れる音に掻き消されない様、お互いを呼ぶ声が響いた。


何も考える間もなく、二人は手を伸ばす。



そんな中、光の柱を中心に地面から何かが盛り上がり始めた。


それは足の様な長い者が六つ。


「遂に…遂に手に入れたぞぉ!!

 光を崩す最終兵器! 超反転魔法ニルヴァーナ!!

 正規ギルド最大の武器である結束や信頼は今…この時をもって無力となる!!」



「っ、く…」


勝ち誇ったブレインの声を聞きながら、エルザはぶら下がる体を何とか右手で壁を持って耐えていた。
左手はジェラールの手首をしっかりと掴んでいる。
その壁の上にはアギトが眠ったままでいた。


「(アギトは無事で良かった…しかしこの状況…どうすればっ…)」


身動きが取れないまま、時間だけが過ぎていく。


ビキッ、と嫌な音がした。


「!!」


エルザが持っている壁に亀裂が入っていた。


「しまっ、」


壁が、崩れた。


「うあああっ!!」

「くっ、」


二人が陥没した地面に落下していく。










―――ギインッ!!





「っ、え…」


金属音が耳に響き、落下するハズの体が止まった。


上をみると右手に鎖が巻き付けられていた。


金属音は…鎖と鎧がぶつかった音だった。





『っ、エル、ザ…ジェラール…!』



「アギト!?」

「っ、」


鎖の先を見ると、眠っていたハズのアギトだった。
身を乗り出して伸ばした手の先に小さな魔法陣が展開され、そこから鎖が放たれていた。


『放すなっ…絶対放すなよ!!』


エルザはアギトに強く頷き、鎖を握った。


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