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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


ドサリと倒れるジェラール。



「ジェラーーール!!」


ジェラールを追い掛ける様に走り出すエルザ。
その様子をコブラは焦りながら見ていた。
このままでは本当にニルヴァーナが崩壊してしまう。


「(魔法陣の解除コードを墓場に持っていく気かよ!?)」


何も出来ないまま"自律崩壊魔法陣"はキキキと音を立てながら広がっていく。

そんなことは構わず、エルザはジェラールの胸倉を掴んだ。



「許さんっ! このまま死ぬ事は私が許さん!!

 お前には罪がある!

 思い出せ! 何も知らぬまま楽に死ねると思うな!!

 それでお前が傷付けた者達に償えると思うな!!

 お前の命はアギトが救ったものだ!

 それを、無駄にするな!!

 伝えたい事があるなら自分で伝えろ!!


 生きて足掻け!!」


力なく、再び閉じられようとした瞼は、エルザの悲痛な叫びに反応し、大きく見開かれる。
ジェラールの瞳に光が戻り、エルザの姿を映した。


「……」


歯を食いしばり、涙を流すエルザ。
その姿をジェラールは茫と見つめ、目を細めて微笑む。


「エルザ…何故…君が、涙を」

「っ……」


ジェラールにそう言われ、今初めて気が付いたように、己の手を見つめる。
鎧で覆われたエルザの手には、零れ落ちた涙の痕。


「優しい、んだな……」


嬉しそうに微笑み、ジェラールが再度目を伏せる。
ジェラールが身体から力を抜いたことで、ぐっとエルザの腕に重みが掛かった。


「ジェラール! しっかりしないかっ!!」


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