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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


「"自立崩壊魔法陣"は既に組み込んである
 ニルヴァーナは間も無く自ら消滅するだろう」


その言葉を合図に、黒い光の柱に不思議な形の魔法陣が広がっていく。
"自立崩壊魔法陣"は、魔法陣を組み込んだものを自ら消滅させてしまう破壊魔法。


「くそっ!!」


コブラは急いで光の柱に駆け寄り、魔法陣の解除を試みる。
だが、ジェラールが組み込んだ魔法陣はあまりにも高度なもので、六魔将軍でさえも解けぬものであった。


「何なんだよ、この高度な魔法陣は…このままじゃニルヴァーナが崩壊する!
 ジェラール! 解除コードを吐きやがれ!」



「……ゴフッ」

「「!?」」


焦ったコブラがジェラールに詰め寄り、"自立崩壊魔法陣"の解除コードを聞き出そうとした時だった。
突然血を吐き、苦しみだすジェラール。
その顔には汗が吹き出し、頬を伝い落ちている。

エルザとコブラは何が起きたのか理解できず、唖然とジェラールを見つめることしかできない。




「エルザ…その名前からは、優しさを感じる…」


「……」


「明るくて、優しくて…温かさを感じる…」



苦しげに顔を歪めながら、ジェラールは目の前のエルザに目を向ける。



「きっと君は俺を憎み続ける…それは仕方ない、当然のことだ…


 しかし憎しみは…心の自由を奪い、君自身を蝕む…」


「お…お前…!」



そこでエルザはジェラールの胸に広がるものに気が付く。


ニルヴァーナに広がっているものと同じ…"自立崩壊魔法陣"。



「俺はそこまで行けない…君の前には…行け、ない…」


「コイツ…! 自らの身体にも自立崩壊魔法陣を!」



荒い息をしつつ、ジェラールはふ、と何かを思い出したように苦笑を溢す。



「それから、アギトに…伝えて…欲しい…ありがとう…と…」



ぐらりとジェラールの身体が後ろに揺らぐ。



「"ジェラール"から解放…され…るんだ…


 君の憎しみも、悲しみ…も…"俺"が、連れて行く…



 君は、自由だ…」


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