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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


「だが乱心したお前は死者を冒涜し、仲間を傷付け、評議院さえも破壊し…シモンを殺そうとした

 それを阻止してくれたのが…お前の友、アギトだ」

「っ、アギトが…」

「アギトはお前を助ける為に死ぬ覚悟でお前の元に向かったのだ

 それを忘れたと言うつもりなら、心に剣を突き立てて刻み込んでやる!!

 ここに来い! 私の前に来い!!」


ジェラールはただ震えていた。


「俺が…仲間を…そんな…」


遂に零れ落ちる涙。
ジェラールは己の顔を押さえ、嗚咽を上げる。


「俺は…なんという事を…俺は…俺はどうしたらっ…」

「(これが…あのジェラール…)」


見たことのないジェラールの姿に、エルザは眉を寄せ、俯く。

人々を裏切り、悪逆を尽くしていたジェラールの姿は今や見る影もない。
エルザの目の前には、己の犯した罪に怯え、弱々しく肩を振るわせるジェラールしかいなかった。





「てめぇのの記憶がねぇのはよくわかった
 道理で心の声が聞こえねぇわけだ」

「!!」

「六魔将軍!?」


隠れるのを止め、不機嫌そうな顔をしたコブラが現れた。


「だがわからねぇ…何故アギトも此処に連れて行った?
 何故ニルヴァーナの封印を解いた?」


シャーッと威嚇をするキュベリオスと怒気を含んだコブラの声。
それに対してジェラールは少し躊躇いを見せながらもゆっくりと答える。


「…アギトが、俺の友人だって事はわかるんだ」

「「……」」

「だが、今までどんなことをしてきたのかとか…そういうことはわからない
 "俺の友人だ"って事実しか覚えてないんだ
 だから…あの洞窟から離れさせた」

「…ニルヴァーナは何故だ」

「眠っているときに、誰かの声が聞こえた "ニルヴァーナを手に入れる"…と
 微かにその魔法と隠し場所は覚えていた
 これは危険な魔法だ 誰の手にも渡してはいけない…



 だから、完全に破壊するために封印を解いた」


「な…!?」

「ニルヴァーナを破壊する…だと?」


驚きに目を見開くエルザとコブラ。
そんな二人をジェラールは静かに見据え、淡々と言葉を口にする。


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