第3章 折り重なる再開
<アギトside>
収穫祭が終わって一週間。
街もやっといつも通りの落ち着きに戻って来た。
が、やはりラクサスが破門になった事はみんなそれなりにショックを受けていた。
ナツなんか昨日まで駄々をこねていたしな。
「納得いかねーぞじっちゃん!! 何でラクサスを追い出したんだ!!
アイツだって仲間だろ! ケンカしたって仲間だろ!?」
「よさないか、ナツ」
「俺はアイツともう一度勝負するんだっ!!」
「……」
「今度は一対一で勝てるくれーに強くなって…」
「よさないかっ!!」
「!!」
エルザが怒鳴ってやっと黙った。
それでも周りはザワついていた。
「マスターの気持ちも考えろ 好きでラクサスを破門にしたとでも思っているのか」
「だけど…」
『ナツ、言いたい事なら俺が聞いてやる だが此処ではもうやめろ』
「アギト…っ…」
こんな場面を何回も繰り返していた。
マスターはマスターで孫の責任をとって"マスター"の座をおりると言い出してしまうしよぉ。
みんなで必死に説得したのだが、反省=坊主という何処か懐かしい姿勢のフリードの一言で思い留まってくれた。
ラクサスの罰をこれ以上重くしないでくれ、との事だった。
すまんフリード…助かった。
他の雷神衆は少しずつだがみんなと打ち解けつつある。
そして収穫祭が終わってから、エルザが一人でいるところをよく見るようになった。
(マスター、あの男は一体何者なんですか?)
(まさかお前の知人と同じ顔だとはな…すまんがワシも奴をあまり知らん 無口な奴だからのう)
(そうですか…アギトは?)
(…あぁ、知ってた…でも言えねぇ アイツとの約束なんだ、悪ぃ)
(……)
(…ごめんな)
(いや…すまない…)
俺がミストガンの顔を知っているのはエルザにも言っていた。
確か以前『幼馴染みみたいなモンだからな』と言っておいたと思う。
「…ジェラール」
エルザが知っているジェラールはアースランドのジェラール。
あの時現れたジェラールはエドラスって異世界から来たジェラールなんだよ。
『(なんて…言えるワケねぇよなぁ…)』