第3章 折り重なる再開
「見ろ! "黒龍騎士のアギト"だ!」
「男でも似合うなあの格好!」
「「「婿に来て~~!!」」」
「「「嫁になってくれ~~!!」」」
その後ろでミスコンの時に着た"蒼艶の衣"を着た二人のアギトがいた。
婿も嫁も言われているのは、一人は男、一人は女に変身しているから。
因に女の方はグラサンしてない。
男アギトは"黒紅の薙刀"を換装して舞い、
女アギトは"蒼黒"を換装して舞っていた。
「マスターだ!」
「マスターが出てきたぞ!!」
最後はマスターの登場だ。
猫耳を付けて腕をチャカチャカ振っている。
「何か妙にファンシーだ!」
「似合ってねぇ!」
「そのコミカルな動きやめてくれ…」
「ケツ振るなよじーさん!」
「「「あはははっ!!」」」
その様子を、ラクサスは少し離れたところで見ていた。
思い残す事は無い、と言う様にその場を後にしようとした。
だが、思わず振り向いた。
マスターが右手を上げ、天を打ち抜くポーズをとったからだ。
マスターだけでなく妖精の尻尾の魔導士みんなも。
思わずラクサスは涙が溢れてくる。
そのポーズはラクサスが子供の頃、マスターに向けたメッセージだったから。
(じーじ、今回は参加しないの!? ファンタジア)
(お前の晴れ姿じゃ 客席で見させてもらうよ)
(じーじのトコ見つけられるかなぁ…)
(ワシの事などどうでもよいわ)
(じゃあさ、俺…パレードの最中こうやるから!)
(何じゃ、そりゃ?)
(メッセージ!
じーじのトコ見つけられなくても
俺はいつもじーじを見てるって証!)
(ラクサス…)
(見ててな、じーじ!)
「じーじ…」
( たとえ姿が見えなくとも
たとえ遠く離れていようと
ワシはいつまでも
お前を見てる
お前をずっと…見守っている )
「あぁ、ありがとな…」
流した涙を拭き、ラクサスは歩き出した。