第3章 折り重なる再開
―――ドガガガガガガガッ!!
ラクリマの残骸が空から降ってくる。
残骸と言っても粉々で、事情を知らない街の人が見れば雪の様に見えるんだろうな。
『っ、ぐううぅ!!』
<<アギト!?>>
突如、大量の雷撃が襲った。
ラクサスが雷竜だから怪我は無いけど、生体リンク魔法10個分の激痛は流石に痛い!
『っあーー…痛ぇ…』
疲れた俺は地面にバタリと倒れた。
<<お前っ、大丈夫なのか!?>>
『怪我はねぇから大丈夫だって…慣れてねぇ解除魔法で魔力消耗して疲れたけど』
<<全く…無事で良かった…!>>
『これは…』
一息つく間もなく、カルディア大聖堂の方から強大な魔力を感じた。
<<これは…"妖精の法律"(フェアリーロウ)!?>>
空から聖なる光を降らせ、術者が敵と認識したもののみを攻撃する妖精三大魔法の一つ。
俺がジョゼを倒した魔法だな。
『あー…ラクサスのか』
<<何!? ラクサスも使えるのか!?>>
『だって俺はラクサスに教わったからなー』
俺にだけ内緒で教えてくれたんだ。
酒飲みながら俺が"最恐"、ラクサスが"最強"ってお互い言い合った頃にな。
<<そ、そうなのか…って暢気な事を言ってる場合ではないだろう!?>>
『大丈夫だよ "妖精の法律"は術者が敵と認識したもののみを攻撃する
これでラクサスの本心がわかるさ』
ラクサスが妖精の尻尾の仲間達を、この街の者を敵と認識して発動したのならば…"妖精の法律"の効果で街にいる全員が消えてしまう。
だが俺は大丈夫だと言った。
カルディア大聖堂の空からマグノリア全体に大きく広がる光。
『……』
俺は目を伏せ、そのまま黙っていた。
魔法陣は金色の光を放ち、マグノリアに全体を包み込んだ。
目をゆっくり開くと…景色は何も変わってなかった。