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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第1章 幼少期と日常


その様子を見ていた三人。


「アオアシラを、一撃で!?」

「凄ぇー!」


グレイはアギトの一撃に声を上げた。
ナツは目をキラキラさせている。
エルザなんて言葉を失ってしまっていた。


『Arbiter(アービター)の時間だ!!』


Arbiterとはチェスの用語で審判を意味する。
競技会の進行と采配を行う事だ。
逃げられるか、狩るか、審判を下すつもりだ。

他のアオアシラも怯むことなく襲いかかってくる。
しかしアギトはアオアシラの攻撃を躱し、且つ薙刀を振るう。
その度に吹きまわるアオアシラの血、舞う様にキレがあり、滑る様になめらかな動き。
紅い世界の中輝く薙刀の黒い刃とアギトの銀髪。
その姿は三人を魅了し、つい目を奪われてしまっていた。

そしてとうとう、後一匹だけになった。
他のアオアシラが倒されても動じず、ただアギトを見据えていた。
それは己の自信を現しているのか、本人にしかわからない。


『さてと、お前は血塗れにするわけにはいかねぇなぁ
 エルザオススメの店に持っていくんだからよ』


アギトは言いながら薙刀を魔法陣に仕舞った。
そして違う武器を換装しようとする。


『換装、』


両手を横に伸ばして魔法陣に手を突っ込んだ。


「両手…"蒼黒"か?」


エルザは自分が戦った時にアギトが使用した二刀流、"黒蒼"を換装するのかと思った。
しかし違った。

アギトが換装したのは…


『"黒銀"(くろがね)!』


右手に黒、左手に銀の銃を握っていた。

この銃は弾が無く、自身の魔力を銃に装填するものだ。
魔力を調整して連続で放つ事も可能、大きな一撃を放つ事も可能である。

臨戦態勢に入ったアオアシラはアギト目掛けて突進する。
難なく上にジャンプしてアオアシラの突進を躱した。
躱されたアオアシラの突進はアギトの後ろにあった木に衝突した。
幹に亀裂が入り、激しい音を立てて倒れた。


『Check(チェック)だ 覚悟はいいか』


地面に着地したアギトが言った。
Checkとはこれもチェスの用語であり、棋士の王手。
キングを倒す前の宣言。
どうあがいても逃げられない状況の事を意味する。

つまり、この一撃で終わらせる宣言と言う事だ。


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