第1章 幼少期と日常
<side out>
山の中、アオアシラ遭遇率が高い場所。
『おー、結構いるなー』
アギトは高い絶壁があるところからその場所を眺めていた。
アオアシラは集団行動するモンスターではないから簡単だと思っていたが、思ったより数が多かった。
『…よし、』
アギトはバックの中から蜂蜜色のラクリマを取り出した。
爆弾ラクリマと蜂蜜の匂いを混ぜたものだ。
アオアシラは蜂蜜が大好物であるため、用意してきたものだ。
アギトはアオアシラが一番集まっている所へラクリマを投げた。
すると激しい爆発音はなく、且つ広い範囲に蜂蜜の匂いが漂った。
実はこのラクリマは自分で改良したオリジナルのラクリマだ。
匂いがしても爆発音がすれば危険を感じて寄って来ない点を改善したものだ。
暫くすると、アオアシラが六匹程集まってきた。
『今日は六匹かー…いくぜ!!』
アギトは絶壁に臆す事なく飛び降りた。
『換装、"黒紅の薙刀"!』
黒と紅に彩られた薙刀を換装する。
アギトに気付いたアオアシラが臨戦態勢を取る。
一匹がアギト目掛けて鋭い爪で引っ掻こうと腕を上げる。
『はああっ!!』
アオアシラの攻撃を躱しながら、落下する勢いを利用して薙刀を振るった。
…あっという間だった。
紙切れが切られた様に真っ二つに切り捨てられた。