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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第3章 折り重なる再開


最下層で着地し、ジェラールを探す。


『ジェラールー!、?』


周りを見ながら走った。
するとキラッと輝く何かを見つけた。


『っ、これは…』


手に取ってみると、聖十大魔導士の証であるバッジだった。
俺とお揃いのチェーンが通っている。

ポケットに入っている自分のバッジと照らし合わせてみた。
ジェラールのものは所々傷が入っているが、全く同じ。
唯一違うのは、裏面に刻まれた文字。

ジェラールのものは"F・ジェラール"

アギトのものは"E・アギト"

と刻まれている。

自分のはポケットに仕舞い、ジェラールのは右手に持ち変え、再びジェラールを探す。
何処だ…何処にいるんだ…!



『…!』


崩れたラクリマの陰に周りより濃い碧を見つけた。


『ジェラールっ』


駆け寄り、その碧を見る。

瞳は伏せられ、体のあちこちには多くの傷や痣。
まさに満身創痍という言葉が当てはまる状態だ。
その碧の髪は、破片やら埃やらで少し汚れてしまっている。
俺は破片や埃を払い、ジェラールの肩を担いで此処から逃げようと試みる。


しかしその時、塔全体が揺れた。


『うわっ!?』


足元のラクリマが砕け、上からも瓦礫と化したラクリマが降ってくる。
何とか避け続けるが…時間がない事は十分にわかった。


『くそっ…』


なんとなく俺はジェラールの顔を見た。
死んでいるのではないかと思うくらい目覚める気配が無い。



『…ごめんな、ジェラール…』



俺が無知でごめん、

何も出来なくてごめん、

止められなくてごめん、

助けられなくてごめん、

幾つもの"ごめん"が重なっていた。



『…ありがとう』



過去を受け入れてくれてありがとう、

気遣ってくれてありがとう、

親しくしてくれてありがとう、

友になってくれてありがとう、

これも幾つもの"ありがとう"が重なっていた。


俺はゆっくりジェラールを寝かせた。

ジェラールのバッジは強く握り締めたまま。

目を閉じて集中する。


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