第3章 折り重なる再開
<アギトside>
ナツが…ジェラールを倒した。
ジェラールが…傷付いた。
俺は…止められなかったんだな。
『くっ…』
時間はかかったが、解除魔法(ディスペル)で"拘束の蛇"を解いた。
「アギト…もう大丈夫なのか?」
『…あぁ』
もっと早く解除出来たら、ジェラールを助ける事が出来たのかもしれねぇのに。
ナツもジェラールも傷付いた。
俺は何も出来なかった。
止める事も助ける事も出来なかった。
『ジェラール…』
俺はジェラールが落下した穴を見つめた。
きっと傷だらけだ。
今すぐ助けに行きたい。
だが…俺なんかが行って何になる?
治癒魔法も使えねぇのに何が出来る?
俺が助けに行ってもいいのか?
俺は…助けに行く資格があるのか…?
そんな時、周りのラクリマが膨張し始めた。
「! 不味い! エーテリオンが暴走を始めた!」
「暴走!?」
「元々、あれだけの大魔法を此処に留めて置く事自体不安定なんだ!
行き場を無くした魔力の渦が弾け、大爆発を起こす!
このままでは外に居るシュウ達を含めて全滅する!」
異変に気付き、シモンと言う男が悔しそうに説明した。
「とにかく脱出するぞ!」
『……』
大爆発…全滅…
俺達も…ジェラールも…死ぬ?
そんな事、させてたまるか。