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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第3章 折り重なる再開


アギトの体に蛇の模様が走っていた。
私自身も受けたジェラールの魔法、"拘束の蛇"で動けなくされたのだ。


「アギト! うぉおおおお!!」

「ごはぁ!」


ナツがジェラールを殴り付けた。


『ナツ、!?』

「(コイツ…エーテリオンを喰ってやがる!!)」


アギト、ジェラール、私は信じられないものを見た。
エーテリオンが吸収され、ラクリマ化したものをナツは食っていたのだ。

確かに、取り込めば強大な魔力を手に入れられるかもしれない。


「うおぉおおお!」

「チッ」


叫びと共にナツが強力な衝撃波を放つ。


だが、


「ぐ…がぁぁ…っ」


突然喉を押さえ、苦しみだした。

『バカ…!』

「エーテルナノには炎以外の属性も融合されているんだぞ!」


炎の滅竜魔導士であるナツは、炎を取り込むことによって力を増大させることが出来る。
しかしいくら強大でも、炎以外のものを取り込むことはできないのだ。

自滅という言葉が頭を過った。


「うぅっ…うおぉおああ!」


しかし、苦しむ声は塔を震わす咆哮へと変わり、エーテリオンの魔力はナツの炎へと変化した。


「何!?」

『エーテリオンを…取り込ん、だ…』


自滅するどころか、ナツはエーテリオンの魔力を自分のものにしたのだ。

立ち上る炎がドラゴンの姿へと変わった。


「うおぉぉ!」

「っが…!」


"神速"には及ばずとも、"流星"と並ぶであろう速さで、ナツがジェラールを蹴り飛ばす。


「お前がいるからエルザが涙を流し、

 アギトが苦しむんだぁああっ!!」

「っ…! こざかしい!」


"流星"でナツの攻撃を振り切るジェラール。


「この速さには付いてこれまい!」


だがナツは魔力を足に集めた。
貯めた魔力を炎に変えて、崩れ落ちる瓦礫を力の限り蹴り上げ、一気に上へと跳ぶ。


「がはぁっ!」


そして、ジェラールの腹に拳を叩き込み、ラクリマの天井を突き破っていく。


「ば、馬鹿な…!?」


あり得ない、と目を見開くジェラール。
ジェラールをここまで追い詰めるなんて…私も信じられない。


「っ、俺は負けられない!」


最上階まで来たとき、ラクリマの壁を蹴って更に高く跳ぶ。


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