第3章 折り重なる再開
<アギトside>
何だこれは…何故俺は生きてんだ?
それにこのラクリマの数は…?
確かエーテリオンが投下されたハズ……そうか!
このラクリマはエーテリオンを吸収したんだ!
じゃあジークは、エーテリオンを投下させる為に思念体として潜入していたのか?
『……』
俺はラクリマを見つめていた。
ドゴォンッ!と上から爆音がした。
きっとナツが戦っているんだろう。
『ジェラールと、か…』
ジェラールは初めての友。
ナツは今の妖精の尻尾の仲間。
どちらにも傷付いて欲しくないのに、と歯を食い縛った。
そして目の前にあるラクリマをバキッとへし折った。
『俺に出来ることは…』
その欠片は粉々に砕けてしまった。
『塔を壊す!!』
俺は両手に魔力を纏った。
『"邪竜の飛爪"!!』
闇雲に周りを考えずにとにかく黒い衝撃波を放った。
急な魔力の消費にも体が慣れたし、大暴れしてぶっ壊してやる!
『"邪竜・牙の連舞"!!』
今度は魔力で黒い刀を幾つも造った。
剣は各々自分で動き、塔を壊していく。
『"邪竜の咆哮"!!』
放った咆哮は壁や天井を貫き、瓦礫と化した。
だがこれじゃあ時間が足りねぇ。
ナツがジェラールに負けるか、
ジェラールがナツに負けるか、
エーテリオンの魔力が暴走するか。
もしも後者なら…中の者なら勿論、外にいる者にも被害が及ぶ。
さっきグレイ達がジュビアの"ウォータードーム"で外に避難していたのが見えたし。
それでも巻き込まれるかもしれねぇ。
『出来るかどうか…"ジッパー"!』
左手首に嵌めてあった腕輪のアクセサリーが光を放ち、塔の外にジッパーが現れた。
俺も外へ出て様子を見た。