第3章 折り重なる再開
<ジェラールside>
全く、返事はわかってるだろうに聞いてくるのか。
そーゆーところが少し意地悪い。
確信犯ってヤツだな。
「今はそう呼んで欲しい」
『ややこしいんだよなー』
「その方が面白いだろう?」
『退屈を嫌うお前らしいな』
アギトをソファーに座るよう促した。
俺は棚に置いてあった瓶を持って見せた。
「一杯しながら話さないか?」
『ワイン? 昼間っから大丈夫なのか?』
「今日はもう予定はない」
『俺もない てかないから来たんだが?』
「それもそうだな」
グラスも二つ持ち向かいのソファーに座った。
「取り調べに参加しなかったのは、こうしてお前と二人っきりの時間を作る為だって事だよ」
『嬉しい事言ってくれるじゃんか 酔って無防備な姿見せんなよ』
「一本で酔わねぇよ」
『それもそうか』
コルクを抜くとポンッと音を立てた。
『うわっ、この匂い…結構高そうなヤツじゃんか』
その小さな注ぎ口から漏れる香りですら滅竜魔導士は敏感に察知するらしいな。
だが匂いで値段がわかるのは流石だな。
ギルドの者とよく飲みに行くとは聞いてたが。
まぁゼロの数は…内緒だ。
知らない方がいいだろう。
「ちょっと高いかもしれないが美味そうだったのでな」
『このちょっとはちょっとじゃねぇって』
「細かい事は気にするな」
『ちょっとを細かいに言い換えたって同じだっつーの』
笑いながらグラスを受け取ったアギトはグラスの口を俺に向けた。
瓶から純粋で綺麗な紅がグラスに注がれた。
俺がアギトのグラスに注ぐと今度はアギトが瓶を取って注ぎ口を向けたので、俺もグラスの口を向けた。