第3章 折り重なる再開
「だが、ここ数年で妖精の尻尾は急激に力を付けて来た
アギトやエルザ、ラクサスにミストガン、その名は我が町にまで届き、サラマンダーの噂は国中に広がった
いつしか幽鬼の支配者と妖精の尻尾は、この国を代表する二つのギルドとなった
ふっ、気に入らんのだよ、元々クソみてぇに弱っちぃギルドだった癖に!」
『下らねぇな…んな下んねぇ事をいつまでも妬んでんじゃねえよ、ガキか』
心底呆れるぜ。
つーか勝手にベラベラ喋ってんじゃねぇよ。
俺はてめぇの愚痴を聞きに来たんじゃねぇんだよ!
「妬み? ははっ、違うな! 我々はモノの優劣をはっきりさせたいのだよ!」
『だとしたら益々下らねえな んなちっちゃい事気にしてたなんてなぁアホ過ぎんだよ』
「前々から気に食わんギルドだったが、戦争の引き金は些細な事だった
ハートフィリア財閥のお嬢様を連れ戻してくれという依頼でな
この国有数の資産家の娘が妖精の尻尾にいるだと、貴様らは…どこまで大きくなれば気が済むのだ!」
『はぁ? っと、』
ジョゼが魔法を放つが、俺は"波動"で簡単に弾き飛ばす。
「ハートフィリアの金を貴様らが自由に使えたとしたら、間違いなく我々よりも強大な力を手に入れる、それだけは許しておけんのだ!」
『ハートフィリア? 令嬢? 何の事かワケわかんねぇぞ』
「貴様…知らんのか?」
『俺は途中参加者なんでな』
「アギト…ルーシィの事だ」
『…誰だ?』
「お前が行方不明の間にギルドに入った仲間だ」
エルザは何も知らない俺に説明してくれた。
ルーシィの父親がルーシィを連れ戻して欲しいと幽鬼の支配者に依頼したことを。
『へぇー、令嬢だったんだ…だから?』
「んな!?」
事実を知ってなお、どうでもいい様な言い方をするアギトにジョゼは目を見開いた。
『令嬢だから何だってんだ 令嬢が魔導士目指したらいけねぇのか
ルーシィはルーシィだじゃねぇか 財閥のお飾りの人形じゃねぇ、妖精の尻尾の仲間だ
俺達が戦う理由には十分だ!』
「アギトの言う通りだ! それに、どちらが上だ下だと騒いでること自体が嘆かわしいが…貴様らの情報収集力の無さにも呆れるぞ!」
「何だと?」