第1章 幼少期と日常
結構話が合って、仲良くなれそうだとお互いが思ってたところだった。
「くぉらあラクサス!」
突如マスター声が聞こえて我に返った。
「やべっ! ジジイに見付かった、逃げるぞアギト!」
『お、おう』
アギトとラクサスは飲んでいた酒を一気に飲み干し、逃げ出した。
「だぁれぇがぁこんなに飲み散らかしたんじゃ~!」
そう言いながらマスターはアギトをラクサスを追い回した。
『あの老体の何処にそんなスピードがあるんだ』と言ったら「気にしたら負けだぞ」とラクサスに言われた。
「知るかジジイ! 俺はアギトと飲んでただけだ!」
『そうそう、確かに飲んでただけ!』
「酒じゃろ! 飲んでたのは酒じゃろ! この馬鹿共がぁ!」
…で、結局マスターはギックリ腰でリタイア。
マスターから免れたアギトとラクサスはギルドの屋根に登ってまた飲んでいた。
因に屋根に登る前にラクサスが厨房から拝借した酒だ。
「ガキの癖に酒に強ぇんだな」
『年齢不詳なもので』
「ナツと同じか」
『へぇー、ナツもなんだ』
「まぁ俺の方が年上かな」
『多分な エルザよりは年上だと思うんだけどなー』
「そうだな…俺とエルザの間くらいか?」
『だと思う』
他愛もない話をし、また笑いが上がった。
ラクサスはこんなに笑ったのはいつ振りだろうかと思った。
「…なぁ、アギト」
『ん?』
「明日よぉ、俺と勝負しねぇか?」
『明日?』
「あれじゃあ暴れ足りねぇだろ?
自分の滅竜魔法、黒い風の技しか使ってなかったんだからな」
『…そういえば』
「気付いてなかったのかよ」
『ははっ、みんなの驚く顔が面白くてつい』
あの戦いの中、ギャラリーを見れるだけの余裕があったのかとラクサスは思った。
それ程アギトはまだまだ本気を出してなかったという事。
アギトの本気が見たい。
久し振りに面白い戦いが出来そうだ。
そう思うのだった。
『いいぜ 最強候補の実力、試してみたかったからな』
「言ってくれるじゃねぇか」
『ん、そうだ ラクサス、』
「あ? 何…!」
のそっと近付いて、ラクサスの額にコツッと自分の額を付けた。
『俺流の挨拶、な』
「~~///」
『? どうした? 顔赤いけど、酔ったか?』
「何でもねぇよ!」