第2章 内緒
石神さんの長い指が、細い眼鏡のフレームをクイッと持ち上げ
少しだけ意地悪な表情で、私の顔を覗き込む
たったそれだけの事なのに私の心臓は、どこか壊れてしまったんじゃないかと思うほどドキドキとしてきて
石神さんの顔を直視していられなくて視線を伏せてしまう
石神「貴女の行動をずっと見ていれば大抵の事は察しが付きます」
「それでも……」
石神「それでも?」
「どうしてかわからないんです」
石神「ふっ」
石神さんの人差し指が、微かに緩んだ自分の口に添えられて悪戯っぽく片目を瞑り
石神「まぁ…それは、内緒にしておきましょうか?」
そう笑って見つめてくる恋人の視線が、あまりにも綺麗で素敵で…
でも、答えを聞かせてくれない意地悪なトコロが、どうしようもないほど私の心を掴んで離さない
結局、私は石神さんのいろんな表情や行動や仕草のひとつひとつに
何度でも「好きだ」と感じずには居られないんだと…
それでも…