第1章 プロローグ
「もうっ!どこにいるんですか……っ」
広い廊下を1人駆け回る少女。
私はとある人物を探していた。
だけどなかなか見つからなく、どうしようにもない状況だった。
何故いつもあの人は居なくなるのかしら……!?
少しイライラさせながらも私は走り続けた。
ずっと走り続けているから呼吸も辛く、足が痛い。
さすがにここは人通りが少ない。だとすると……。
―――――近くにいるかしら。
キュッと方向転換し、さっきまで通った道を引き返す。
まだ探していない所がある。きっとそこにいるはず……。
数分走った頃だった。
「はぁ……はぁ……」
目的地から少し離れた所で足を止めた。
膝に手を置き、呼吸を落ち着かせる。
私の視界に映ったのは、ボサボサの長いポニーテールに陰気な雰囲気。
そしてその者の周りには5羽のハト。
「……こちらにいらっしゃったのですね」
紅明皇子――。
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