第3章 恋?いえ、それは鯉です。
「おかしなことなんかねぇよ。
人は恋してなんぼだ。」
「そうか…」
「にしてもよ、お前、前にあったときより表情が柔らかくなったな」
土方が私を見てふっと笑う。
「その万事…恋の相手のおかげでか?」
「うん。」
そうかいとなぜか笑ってる。
「皇さんはどうしたいんでィ?」
「わからない。言ってしまってもきっとそいつは今まで通りにはしてくれない。それにその周りのひとにも気を使わせちゃうから。
それは辛いし。」
きっと情けない顔をしているんだろう。
「じゃあひとつだけ助言しときまさァ。
恋は盲目ですぜ。」
「助言になってねぇぇ!!!」
「恋は盲目…」
「恋愛相談にはいつでも乗ってやりまさァ。
でも、結局決めるのはじぶんですからねィ。」
「…ありがとう。沖田くん土方さん、近藤さん」
「総悟でいいです」
「いいってことよ。俺もトシでいい。」
「俺もゴリラ…ってちがう!「じゃあゴリラで。」」
新撰組、なんていいひとたちだ。
人間っていいひとが多いんだな。
「それじゃあ、また。」
そう言って私は屋根を飛び越えていった。
めんどくさかったので
「天然パーマ炸裂で、あほで、バカで、なんてよ」
「あんたしかいないじゃないですかィ」
「なぁ万事屋。」
と、障子の裏にせもたれていた坂田銀時がいた。
「ちっ…」
「顔赤いですぜィ?」
「あ?うるせぇよ総一郎くん。」
総悟でさァと言おうとしたが、今はやめておいた沖田。
「どうすんだ万事屋。」
「わかんねぇよ」
「まぁ、ほんとに万事屋かはわからないしな!
俺はお妙さんにぞっこんだぁぁ!!」
そんなことが言われているのは、
もちろん私は知らない。