第8章 危険の中に奇跡あり。
「あー、暑い。
トシ、アイスないのー?」
「あー?仕方ねぇな。
買ってきてやる。文句言うなよ?」
トシはなんやかんやでやさしいんだから。
「ふふ、ありがとう。」
「なに笑ってやがる。」
「別に?早く買ってきてー。」
「ちっ。はいよ。」
いい子にしてろよ、とにやけながら出て行くトシ。
「で、総悟はなにしてんの?」
「見つめてんでさァ。」
うん、さっきからずっと見られてる。
「だから、なにしてんのって。」
「いや、なんか、かわりやしたよね。
雰囲気というか、なんというか、なんかありやしたか?」
「え?んー、特になにも?」
そうですかィ、と資料にやっと目を戻した。