第5章 愛はまれに狂気となる。
「神楽が僕のために君を恨む?
あるわけないじゃないか、そんなこと」
ふふと笑う神威。
「あるの。
家族はなにがあっても家族よ。
1度愛してしまえば、
なにがあったって、なにをされたって、
結局は嫌いにはなれないの。
家族だけとは言わないけど、
血の繋がりってね、
大きなものなのよ。」
もう、私にそんなものは無いけれど。
「難しいことばっか並べないでくれる?
そんなの聞いても楽しくないし。
まぁ、でもいいネ。君のその顔も。
名前、なんだっけ?」
「教えたくないわ。
あなたなんかに。」
そういえば、
私はいつのまにこんなに殺意を我慢できてるんだ。
私はこいつを悲しいひとと思ってしまった。
愛を知らない可哀想なひと。
それがそうさせたのか?
「えー、つまらないなぁ。
まぁいいヨ。でも、お礼はちゃんとしてもらうからネ。」
「ぐっ!!」
私はそこで気を失った。