第5章 愛はまれに狂気となる。
そのころ春雨───
「ねぇ、阿伏兎。
暇だねぇ。」
「暇する暇があったら仕事をどうにかしろ。スットコドッコイ」
阿伏兎は頭をボリボリかきながら
あくびをする。
「えー。やだヨ。
あ、そういえばさぁ。
覚えてる?
昔、一族を滅ぼしたとき、
一人だけ残してきちゃったじゃん。」
「それがどうした?」
興味なさそうに聞く阿伏兎。
「あの子に会ったよこの前。
綺麗になってたよ。強くなってるだろうなぁ。
ははっ。殺りたいな。」
「会いに行くんじゃないだろうな?」
「あ、いいねそれ。
いい暇潰しができそうだネ。」
待っててヨ。