第19章 辛い記憶
いよいよ始まったクラス対抗リレー。
みんなと一緒にチームを応援!
今度は次、私がバトンを受け取って走る番!
ドキドキしてきた。それにちょっと胸が痛いけど・・・頑張る!
そして私はバトンを受け取って思いっきり走ってクラスの男の子に渡した。
はぁ、はぁ、はぁ・・・
那々『お疲れ様、夏妃!』
夏妃『ありがとう、那々!那々は凄く速かったね。』ハァ、ハァ
那々『そんなことないよ、あ、黒尾くんもうすぐバトン貰うね!』
そう言われて鉄朗を見ると受け取っていた。だけどこの時点ではまだ2位。頑張れ鉄朗!
それにしてもまだ呼吸が落ち着かないや。胸は、痛くないし。それも構ってられないや!
夏妃『頑張れ鉄朗ー!』
みんなの応援があったおかげなのかよく分からないけど、鉄朗はみるみるスピードをあげて2人分ぐらい開いた差を縮めて1位になってそのままゴール。
もちろん私は嬉しかったから那々とハグして喜びあった。
すると那々が私に冷静になって言ってきた。
那々『夏妃、保健室行こ!おかしいよ!走り終わってもう時間はかなり経ってる。なのに走り終わった直後みたいに苦しそう。』
夏妃『大丈夫だよ、那々、もう少しだけだし、ここに、いてる。』ハァ、ハァ、ハァ
黒尾『夏妃・・・またあの時の。』
夏妃『あの時・・・?』ウッ
黒尾・那々『夏妃!』
その声で一瞬にして喜びの空気から一変して冷ややかな空気になった。
私は急に襲ってきた胸の、正確には心臓の痛みに膝まづくしかなかった。膝まづいてほんの数秒だろうか、そのあいだはギリギリ意識があったのだけど、さらに強い痛みが私を襲ってきたからそれに耐えられなく意識が途絶えた。
その間ずっと鉄朗は私の名前を呼んでくれていたのを私は知らなかった。