疼く鮫肌。
イタチさんが、少し用事を足してくる。そう言って居なくなってもう2時間は経つだろうか。
怪しかった雲はとうとう私の頭上まで来て、泣き始める。
しとしと、ぱたぱた、ぼたぼた。
さすがに狭い木立では、肩が濡れてしまう。
そう言えば少し戻ったところに、小さなお社があった。
雨漏りもするだろうし、蜘蛛の巣だってありそうだったが、自分の大きな身体。雨を凌ぐには十分な広さはあるはずだ。
「おや。先客がいましたか。」
段々と強くなったまま、弱くなりそうにない雨。
肩に付いた雨粒を払いながら、ボロボロのお社へ土足で上がり込むと、先に雨宿りをしていたか弱そうな女。
雨漏りをするお社の中で雨に濡れないようにするためか、頭にすっぽり布を被っていた。
「あ。」
「私も雨宿りです。しばらくご一緒させてもらいますよ。」
「どうぞ。ふふっ。どうぞと言うのもおかしい。」
「えぇ。こんなボロ屋、まさか貴女のものじゃないでしょう?」
「さぁ?」
さぁ?細く今にも儚く消えてしまいそうな女。
しかし不思議な感覚。まるで幽霊と対峙しているかのようだ。
ちらりと横顔を盗み見ると、思わず目が合ってしまった。
クスリ。と細やかな笑みを向けられると、こんなもったりとした雨の中にも関わらず、ピリリと体に冷気が纏わりついた気がした。
「珍しい。」
「なんです?」
「かような肌色。初めて見た。」
「えぇまぁ。嫌いじゃないですよ。」
「自らを好きになれるのは良い事。」
細い釣り目をさらに細くして楽しそうに笑う。
ちょいと傾げた首につられ、長い美しい黒髪がさらりと流れた。
艶やかで艶っぽい。
花街の女と似たような面持ちなのに、なぜか触れてはいけない物の様な気がして、身動きが取れない。
フ。この私が?女一人を前にして固まるとは。
「止みませんねぇ。」
思ってもない事が口を付いて出る。
別に止もうが止むまいが、仕事の相棒が戻ってくればここを去るのに。
「止むまでいると良い。その間、話し相手になってくれればなお良い。」
「構いませんよ。」
「ありがとう。つまらんでな。」
クスクス。
何か警戒を解いた様な、一つこちらに近づいてきた様な。
理解できない、得体の知れない女が自分に心近寄って来た事に、柄にもなく怖い。と感じてしまった。
その時、外に聞こえたパキと枝を踏む音。
すぐにイタチさんが戻ってきたのだと、ハッキリと分かった。
そしてもう一度、柄にもなく助かったと胸を撫で下ろした。
「鬼鮫。」
イタチさんの声に振り返り、目を合わせる。
何か一言かけてこの女の前から去ったほうが良いだろうか。
そうだな、もう会う事は無いだろう。礼を尽くしても問題は無い。
「お邪魔しました。」
「一体誰に挨拶したんだ?」
「ん?」
目礼で済まそうと思ってきちんと注意を払っていなかった。
何を言っているんだイタチさん。と言ってやろうと思ったが、本当に何に挨拶をしていたのだろうか。
「夢でも見てたんですかね。」
「なにやら梅の匂いがするが。誰か居たのか?」
「いいえ?」
本当だ、梅の匂いがする。
時期じゃないというのに。
「それで、用事とやらはきっちり済んだんですか?」
「あぁ。行こう。」
まだ雨の降るお社の外へ重い腰を上げて出る。
目的の里へ向かって歩き出そうと、背中の鮫肌を背負い直した時、トタタタ!とお社の中から小動物の足音が聞こえた。
「なんだ。律儀だな。」
「律儀?」
「お社に居た狐に、邪魔をした礼を言ったんだろう?」
ほら。と言わんばかりにイタチさんが指をさす。
そちらに視線を向けると、まるで美術品の様に美しい黒い狐の姿。
これはもしや。
「つままれましたかねぇ。」
「狐狸妖怪の類いは、あまり心を許さない方が良い。遊ばれるだけだ。」
「たまには付き合うのも乙ってもんですよ?イタチさん。」
「じゃぁ、お前が付き合えばいい。俺は遠慮する。」
いや。
もうこりごりだ。
あの狐は雨の中、何を考えているのだろうか。
「次に私のとこへ来たら、きっと殺してしまいますよ。」
理解出来たのだろうか。
こくり。と小さく頷き、しゅるり。と森の中へ消えて行くのを首の後ろでチリチリと感じた。
(おや。雨が上がりましたね。)
(星が見えるぞ。)
(まったく。ひどい雨でしたね。)
ちょ、ちょ待て、ちょ待て(ぼたぼたぼたたた
は、鼻血が・・・ッ!
ぶはァッ!!!!!
私の鬼鮫さん心がとうとう私共々流血の大惨事!!!!!
うわわわわ、嬉しい!!嬉しい!!!嬉しいィィィィい!!!!!
天狐さんが鬼鮫さんと話してる!鬼鮫さんがビビってる!!
←激レア!ど激レア!レアレアンメタルエンペラー!!!
萌えるうゥゥゥ!!!!
二人して、二人して何なんですか!!
サイッコーです!二人とも大好き!
葛西のK点越え来た!軽くクリアした!夏季オリンピックだってのに(しかも閉会してますがな)ブラジルまですっ飛んだ!世界の裏までこんにちは!オリンピック並みの感動をありがとう!
脛椎がすりもげそうです!憑き神が首の後ろでさすられ過ぎてコロボックル化しております!
あ、流石にちょっとうるさかったです。ごめんなさい(__)
いや、マジいい!どうかどうかの三拝九拝ですうらにゲストで入って頂きたいと目がくらむ程。今年のすうらの締め、はちさんに飾って貰ってしまった感じです。
天狐さんの妖しく艶やかな嫋々たる風情、鬼鮫さんの本能的な退き方、ヤバイ、やられたです。ほんの一時の雨宿りと出合いの始末、勿体ないくらい物語。
奇しくも実現した二人の邂逅にしばし呆然。
はちさん妃杉さん、あの、お二人の鬼鮫さんにカンバラは完全にやられました。エロくて皮肉で本能的で狂気で、カッコいい。
ホントにありがとうございます。こんなヒンナな事ってあるかいな。アシリパさん、オソマどこじゃないヒンナがありましたよ。ご馳走さまです!
長々にも程がある長々、失礼しました(__)
最後にもうひと叫び。
はちさん、妃杉さん、大好きだあぁ!!!
カンバラさんがどこまで突き抜けるのか、傍観しておりました。
まぁ、何のために書いたかと聞かれると、もちろんカンバラさんの鼻血のため。
どうぞ、お持ち帰りしてください。(コピって持ってって、舐めまわして、お好きにどうぞ。)
はちからカンバラさんへの誕生日プレゼントっす。(誕生日知りませんけど)
ひやぁ!!
わ、私もコピーしてっていいですか……!??(おい)
やだーもうはちさんってば…!!
スマホからだと満足に感想書けないのが辛い……orz
カンバラさんへの贈り物なのに、私まで良い思いさせて頂いて!!
ヒンナヒンナですよー!
あ、そうそう。
カンバラさんへの「疼く鮫肌」
実はこれ、クロスオーバーではなく、カンバラさんの「連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー」の二次創作っぽいものっす。
鬼鮫さんが、牡蠣殻さんに出会う前を妄想して書いたのです。
天狐はシカマルと出会う前の妄想。
妄想に妄想が重なった妄想ですね。
ねー。
おお、成る程!
面白い!今度鬼鮫さんに狐の話を振っていじめてみようかな・・・(笑