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桜の花弁が舞う中で ~期間限定・テニプリ~ (0)
今、こうして手を繋いでいる俺たち。随分、我が儘聞いてもらったり、庇ってもらったり……あんまり、格好いい彼氏じゃなかったって自覚してる。
彼女と初めて出会ったのは、桜の花ビラが舞う季節だった。あんなに綺麗な景色だったのに、どうしてか泣きそうな顔をしていたのを覚えている。
2度目は教室……そう、同じクラスだった。柄にもなく運命なんか感じてた。強い口調なんて使わないのに、いっつも俺を負かしてた。
何でなんだろう?……柳先輩に相談したら、先に惚れたものの負けと言うことだって言われた。だったら、今後も絶対勝てないのか?
なんて、二の足踏んでたら掻っ攫われそうになって、慌ててコクったりして……益々、勝てそうにないじゃん。
でも、あの時の返事……真っ赤になって、あぁ……コイツってこんな風な表情もするんだって発見があって……そしたら、もっともっと知りたくなって……。
半ば、ゴリ押し?みたいに……そう、初めて言いくるめてしまった。いっぱい楽しいことを体験させてやるって言ったのに、させてもらってんのは俺の方。
「赤也くん、綺麗だね。一緒に見られて良かった。」
また一つ、彼女の新しい表情の発見。やっぱり……勝てそうにない。でも、勝てなくてもいいかって。
真田副部長が勝てなくてもいいなんて思ってるって知られたら、どう思うかなぁ?また、ビンタ?説教?
そんなことを考えていたら、仁王先輩がこっそり教えてくれたんだ。真田副部長だって、彼女に勝てたことがないし、今後も勝てそうにないって。
って、折角のデートなんだし、今は楽しまないと!!ギュウッて小さい手をしっかり握り締めて、桜の花ビラが舞う中で彼女を腕の中に閉じ込めよう。
大好きだって、言葉を添えて
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三日月 ~期間限定・テニプリ~ (0)
部活帰りにふと見上げた空。すっかり暗くになった空は、不安を駆り立てるにはピッタリだ。
しかし、そんな空に柔らかい明かりを灯す三日月。俺は、その三日月が彼女に似ていると思う。
普段の彼女は典型的なTHE・女の子なのに、俺が暗闇に迷うときにいつも導いてくれる。
優しく柔らかい笑顔を携えた彼女は、いつになく強く芯のある導き手となるんだ。
そう…………今、俺の手を強く握り締めてくる。大丈夫……大丈夫……きっと明るい未来が待っているって。
そんな風に思えるのは、そうあろうと……俺を無条件に信じぬいてくれる彼女がいてくれるから。
明日の試合は、俺を強くさせてくれる彼女に……勝利と言う最高のプレゼントをしよう。
弱音なんて吐いているのは性に合わない。
さて…………
戦闘開始だ
小さなその手が白くなるくらい俺を思い握り締めたその思いに……迷う暇などないと、前を向いていられるパワーを込めて。
常勝・立海大の名前に恥じぬように……
そこで気付く。
三日月のように穏やかなその瞳が、俺を見ていることに。そんな時は、きまって強き発言。
って、きっと……心の中は、見透かされているかもしれないけど。
有言実行だ。
『明日の試合、俺だけを観てろ。俺の妙技……たっぷりと披露してやるから。』
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十五夜 ~期間限定・テニプリ~ (0)
静かな、静かな十五夜の月夜
初めて君と会ってから、何回、この穏やかな時間を一緒に過ごして来ただろう?
秋風に揺れるコスモスのように、俺を優しい空間にいざなってくれる君。
いつからだろうな…………俺にとってかけがえのない女性になったのは。
そしてこの日、大切な君に俺の決心を聞いて貰おう。
この先の未来も、君と共にこの穏やかな時間を一緒に過ごせるように……。
『愛してる』
の、言葉を添えて。
きっと君は、目を丸くして……クシャリと表情を崩してから、とびきりの笑顔を見せてくれるだろう。
俺が見つけたあの日から、俺の心は君に真っ直ぐに向かったまま。
楽しいときも、悲しいときも
ずっと、ずっと…………
君と共に
『精市さん、今日は何かありました?』
心配そうな瞳が俺を見ていて、どうやら自分が緊張していたのだと気づく。
『こんな時だからこそ、スマートにいたかったんだけど……聞いてくれるかな?今日は伝えたいことがあるんだ。』
いつもの俺ではない態度に、君は柔らかい笑みを浮かべて頷いた。
どんなことでも、受け止めてくれる……小さくて強い俺の大切な君。
…………
やっぱり、君は想像通りに目を丸くして……クシャリと表情を崩しては、とびきりの笑顔を見せてくれた。
俺は一生涯、この日を忘れない。
とびきりの笑顔と、とびきりの泣き顔の君のことを。
愛してるよ……#NAME1#。
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恋人 ~期間限定・テニプリ~ (0)
あ、まただ……。何故だ?
フワフワの柔らかそうな長い髪の女を見かけると、つい……目が追い掛けてしまう。
いつからだ?俺がこんなに軟弱で、女に注意を向けてしまうようになったのは。
あ、こ、これも浮気?とかになるのか?
ぜ、絶対に誰にも言えねぇ。先輩らにも、ましてや桃城や越前になんか知られたくない!
それなのに……目が、つい……。
不二
『ヘェッ……海堂も僕と同じなんだ。』
いきなり現れては、訳の分からないことを言ってきた不二先輩。相変わらず神出鬼没な人だ。
海堂
『何のことっすか?』
不二
『恋人に似た女の子を見かけると、つい目で追ってしまうんだよね。』
え……不二先輩も俺と同じ浮気者なのか?
不二
『フフ……違うよ。僕も海堂も、誰でも言い訳じゃない。だって、大事な彼女に似てるからこそ意味があるんだ。』
あれ?俺の心中、見透かされて?って、まぁいいか。恋愛マスターらしい?不二先輩だから。
海堂
『その……このことは秘密で。』
不二
『じゃぁ、二人の秘密ってことにしようか。さて、幻覚が見えない内に……。』
海堂
『ハァッ……俺、彼女んとこ行ってきます。』
アイツは直ぐに見付かって、俺に気付いて……本当に、本当に嬉しそうな顔をした。
それを見て、あぁ……そうか。俺自身も嬉しいんだって分かった。
帰り道、少し先に不二先輩カップルがいて……仲睦まじそうに見えた。
俺たちも、あんな風に…………繋いだ手に力を込めた。
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ペテン師 ~期間限定・テニプリ~ (0)
声を圧し殺し一人で泣き崩れる。あんな泣き方……していいハズなどない。
俺が関われば関わるほど、アイツの立場は悪くなる。
小さく儚いアイツの容姿が、さらに小さくなって泣いている樣は見ている方も苦しくなる。
じゃが……すまん。
気持ちを抑えられん。
どうしようもないくらい……お前が泣いているのを知っても、俺がお前を想う気持ちは止められん。
自分の心をペテンに掛けられんかった。
ペテン師の名が泣くのう。
自分の気持ちが分かった今、俺が進むべき道は1つだけ。
俺がお前を守ればいい。どんな手段を使ってでも、俺が守る。
約束するぜよ。
だから……笑ってくれ。
お前さんは、ただ、俺の隣で笑ってくれるだけでいい。
さて、戦闘開始ぜよ。