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ストイック ~期間限定・テニプリ~ (0)
只管、キャンバスに向かう。
ひた向きに、そして強い眼差しに俺は目を奪われる。
満月の中で、真っ白なペガサスが真紅の花の中で嘶いているシチュエーション。
世界を支配しているようなその存在感のペガサス。お前は、誰を思いそれを描く?
それが俺ならばどんなに誇り高く、強い存在だとお前に思われていると言うことだろう。
手を伸ばそうとしても、指の隙間からスルリと簡単にこぼれ落ちてしまうお前。
いつか、いつか……この手が、この腕がお前に届くように俺は強くあろう。
お前の描くペガサスの存在感に恥じないように、俺が俺らしくあるように。
俺のこの眼差しを捉えて離さないお前をいつか……
ストイックに……
ただ、ストイックに……
俺様が俺様として、誇り高く。
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ギュゥッって…… ~期間限定・テニプリ~ (0)
なぁ、何で?
俺の彼女やって、認識ないわけないやろ。
俺……メッチャ、可愛がってるんやで?
『侑士……顔怖い。』
『五月蝿い。言われんでも自覚あるわ。って、今から撃退しに行くんやからこれでええんや。』
標的は、俺の可愛い、可愛い彼女……に、にやけた顔で自己主張&自慢話してる【敵】。
俺……メッチャ青春してる?
それにしても、俺の彼女……かなりの人見知りなんや。今頃、あの物凄く困った顔してるんやろなぁ。
…………ブチッ
あ、何かキレた音した?
彼女……困った顔やなくて、泣きそうになってるやん。腕を捕まれて、連れていかれそうになってる。
ホンマはアカンで?良い子は真似せんように。
敵の腕目掛けて放ったテニスボールは……予定通りに撃退した。
痛そうに悶えてる敵に冷やかな視線向けてから、彼女を自分の腕の中にギュゥッ……。
『侑士さん……。』
『怖かったなぁ?けど、もう心配あらへん。せやろ?』
俺にしがみついて、小さく頷く彼女……。メッチャ可愛い……メッチャ青春や。
『お前……コソコソしたって、侑士の耳に入るの分かんねぇの?テニス部200人の部員から、何かあったら連絡が入るようになってんだぜ。』
『ホンマ、厚かましいにも程があるわ。次……ないからなぁ。あ……逃げてった。』
『今回も、根性無いヤツ……。で、侑士。そろそろ部活に行かねぇと、跡部が五月蝿いぜ。』
『ハイハイ。ほな……ん?部活終わるまで待ってるって?大歓迎や。目一杯、格好ええとこ見せんとなぁ。』
…………二時間後
『だから、待てって‼』
『嫌や。今回は許さへん‼』
『侑士‼あ~……ったく、可愛い過ぎる彼女も考えもんだな。』
『忍足のヤツ……。後で説教だ。ん?何?アイツが絡まれてる?ったく、俺様の女に言い寄るとはいい度胸だ。樺地、行くぞ!』
『ウス。』
『……跡部まで。』
……一時間後
『大丈夫や。俺がついてる。もう、離さへんから。……ん?強く抱き締め過ぎ?堪忍や。』
……30分後
『ホンマ、抱き心地ええわ。けど、そろそろ帰ろか。ん?もうちょっと引っ付いていたいって?ほな、もうちょい堪能させてもらうわ。可愛いなぁ……俺の姫さん。』
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微笑みという名の…… ~期間限定・テニプリ~ (0)
いつだってそう……
女の子の視線は、隣にいるエージや手塚へのもの。
気持ちは分かる。だから、ちょっぴり羨ましく思うけれど……仕方無いって思ってきた。
たった一人、俺を見てくれる人がいる。
そう……君だ。
お日さまみたいな眩しい笑顔とは違って、野原に咲くスミレのような穏やかな微笑み。
ゆっくりと優しい声色と共に、俺へと安らぎをくれる。心から、俺が俺で産まれてきて良かったと……味会わせてくれた大切な女性だ。
どんなに辛いことがあっても、困難にあっても……その微笑みで癒され、活力をくれる。
単純だって言われるだろうか?それとも、そんな大層なものじゃないと謙遜するだろうか?
そんなことを想像するだけで、俺は優しい気持ちになれる。
照れ臭そうに俺が君の腕を引っ張っていた時、ショーウィンドーに映る君を見て……俺に負けないくらい赤くなった顔をしてた。
そして……
物凄く、幸せな微笑みを浮かべてた。
やっぱり、単純?
君をこんな風に幸せそうな顔をさせられた俺は、本当に……俺の方が幸せだって思えた。
可笑しいかな?
君は、いつだって俺の隣じゃなく俺を見てくれる。
だから、見てて?
俺の為にも、仲間の為にも……大好きな君の為にも俺はこの試合を勝つ。
だから、見てて……
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マイペース ~期間限定・テニプリ~ (0)
ホント、嫌になるくらいあの人ってマイペース。
フワフワして掴みどころないし、誰が声かけてもニコニコしてるし、弱っちょろく見えて意外に頑固だし。
ねぇ、分かってる?
俺が、年上のアンタを気になってるって。
糸のない風船みたいなあんただから目が離せなくて……。
だから、いつも探してしまうんだ。気付いたら目で追ってるし、先輩たちと親しげに話してたらムカつくし。
どこまでそのマイペースが、俺の心を掻き乱すんだろ。いっそ、知らんぷり出来たらって……そう思うのに出来ないから悔しくて仕方無い。
ねぇ……教えてよ。
アンタのそのマイペースなとこ、どうしたら掻き乱すことが出来る?
俺を見てよ……俺だけを見てよ。
俺以外の誰にも、そんな笑顔を見せないでよ。
『おはよう。リョーマくん。そう言えば、聞いたよ?練習試合あるんだってね。リョーマくんの応援に行ってもいい?』
そう言っては、いつもの笑顔を見せるんだ。
そして俺は……その笑顔だけで頑張れてしまえるんだ。
【アンタのことが好きだ】
そう言えたら……
『来るのは別に構わないけど、勿論、差し入れ付きだよね?』
『どんな差し入れがいい?』
『アンタのその視線……俺だけにくれればいい。』
……アレッ?
いっつもの笑顔で、大きく頷かれた。
ハァッ……ホント、嫌になるくらいアンタってマイペース。
でも、いつか振り向かせるから。
負けっぱなしなんて、俺には合わない。
覚悟しててよね。
アンタのそのマイペースも、アンタのもつ全てを俺が独り占めするから。
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七夕 ~期間限定・テニプリ~ (0)
願い……誰もが抱えるもの。
小さいものから、大きなものまで……多種多様の願いが存在するだろう。
俺の願いは……
左側に存在する、一見儚くて脆く見える恋人との未来。
お前のその笑みを絶やさないでいられるように……
笑われてしまうかもしれない。それでも願わずにはいられない。
短冊に書いた願い。
幾多のカラフルな短冊に書いた願いは、天の川で瞬く星々のようだ。
『国光さん。国光さんは、何を願われたんですか?』
愛らしい笑みを浮かべ、俺が手にしている短冊を覗き込む恋人。
『あ……同じだ。』
照れ臭そうに見せてくれた短冊に書かれていたものは……
【二人で、ずっと笑っていられますように】
『同じか。ならば、2倍叶えてもらえるかもしれないな。』
小さく口元を緩める俺と……静かに、そして優しく穏やかな笑みを浮かべる恋人。
そんな俺たちを、天の川の二人は見守ってくれているだろう。
繋いだ手に力を込め、そう願いを思い描く。