最近色々あって、
学生時代を思い出します。
リアル呼びを当てはめると、みづちゃん。
なんかしっくりこないので観月さんにしますね。
観月さんは、途中からポンと転校してきた秀才。
全国模試とか、あらゆる勉強で学校も塾もほぼ1位になる人。
なのに、なーんでか、
ほぼ最下位の私と子供時代よく一緒にいてくれた。
違うクラスになっても、
わざわざ昼休みに私のクラスに必ずと言って良いほど来てくれた。
観月「あなたとは、話しやすいんですよ」
らしい。
能天気だからだと思う。
秀才は皆ガキに見えて下らないから馴染めない、
と言ってたけど童顔な私がカウントされないの謎。
因みに観月さんは昔、友人みちる(美人)
が好きだったから、
私は恋愛眼中に無いと思うんだよね。
でもあんまりにも仲良くて、
囃し立てた友人が私のことどう思ってるか聞いたら、
観月「嫌ですよ、あんな鈍感」
ってぶっきらぼうに言ってたって聞いた。
えぇ、小説に採用させて頂きましたともwww
学生時は朝の駆け込み乗車カウントされてて、
毎日のように怒られたり、
受験前日は綺麗な字で書いた
山あての小さなメモ用紙をくれたり。
これも、実話でしたー(笑)
ということでよくうちらは冷やかされましたが、
私は男子友達が多く慣れていたので、
ケロっとしてたけど観月さんがダメだった。
授業休みや昼休み、
私のクラスの後方ドアから入り、
私の隣席に来て談話するのが日課だった観月さんでしたが、
ある日突然、前方ドアから勢いよく教室に入ってきました。
観月「◯◯、ちょっと来て」
「へ?!」
少し怒るような声で、
私の手をグイッと掴んで歩き出したので、
そりゃ、まぁ、教室がザワつかないわけがないだろ?
連れて行かれたのは、
誰もいないカーテンの閉まった真っ暗な隣の教室。(体育中)
ピシャリとドアを閉めると、
観月さんはフッと手を離し、私に背を向ける。
観月「もう、嫌なんですよ…」
観月さんは涙声でそう言う。
「えっ?!何?!ちょっと待って?!?」
柳「あと俺もどさくさに連れて来たのは何でだ観月…」
「は?!」
振り返ると、面倒見の良い柳君が立っていた。
どうやら片手は柳君だったらしい。
観月「君、無害じゃないですか。
こんなところに◯◯だけ連れて来たら、
また変な噂が立つでしょう。
カモフラージュです」
私は大混乱だ。何が何やらである。
観月「僕は◯◯と話したいだけなのに、
ガキのやつらが、からかってくるんですよ。
それが嫌で嫌で仕方ありません。
最近は嫌がらせもされるようになって…」
涙を拭いながら、観月さんは悔しそうに話す。
「?!観月さん?!」
観月「ほら…また、そこ!」
ビシィッと、私の背後を指刺す。
ビックリして振り返ると、
何人かがドアや窓の隙間から覗いていて、
慌てて走って逃げた。
んにゃろ…
観月「そこも!!」
ベランダ側は隣の教室と繋がっているので、
そこからも何人か覗いており、
バタバタと逃げていくが誰だか分からん。
観月「もう嫌です。今日から◯◯のところに行って
話したりしませんから…」
「観月さん…」
あのシャンとした秀才の観月さんが泣いてる。
仲良くしてくれたのに…
私の描いた絵が可愛いって沢山言ってくれた。
よく怒られるけど、私のこと本気でバカにしたことなんか一度も無くて…
私も悲しかった。
大人なら仲良しくらいでからかったりしないのにね。
私「観月さん、私は大丈夫だよ。気にしてないよ」
観月「僕が無理なんですよ」
ここは漫画の世界じゃない。
子供の私には、良い言葉も考えも出てこなかったのだ。
それから、ほんとに観月さんは私の教室に来なくなった。
結構寂しかった。
でも、廊下ですれ違うと必ず挨拶してくれた。
おはよう、とか、お誕生日おめでとう、とか、
メリークリスマスまで言ってくれたのには笑っちゃった。
卒業して、私達は違う学校に入った。
それからみちるの文化祭へ行くことになったある日。
「観月さんも同じ学校だよね?会いたいなぁ」
はるか「確かに。会えるかもしれないな」
校内1日練り歩いたが、観月さんに全然会えない。
連絡手段も無く、もうあと数分で文化祭が終わる。
はぁと意気消沈してグラウンドを横切ろうとすると…なんと観月さんと柳君が
並んで歩いてくるではないか。
「観月さぁあん!」
私は走りながら大きく手を振る。
観月「◯◯?」
「はぁっはぁっ
やったー!会えたー!
よかった、もう諦めて帰ろうとしてた」
観月「何?僕に会いに来たの?」
顎に手を添え、ニヤリと揶揄う様に
私を見下ろしながら笑う。
「うんっ!」
私は嬉しくてニコッとすると、
観月は面食らって目を見開いていた。
この顔初めて見るぞぉお。
多分私が「なわけないでしょ?!」
とかなんとかツンデレ抗議すると思ったに違いない。
けど、ホントだから正直に回答した。
観月の隣に居た柳が、サーっと後ろに後退して消え、
私の背後にいたはるかは、また違う顔見知りに囲まれていた。
「あ、あとね、みちるにも会いに来た!」
観月「…あぁ、僕以外にも会いに来たんですね、なんだ…」
めちゃくちゃ低い声になったが?!
拗ねてるのこれ????
でも観月さん1日探してたのはホントなのに…
※※付き合ってない
観月「それにしても…」
頬に手を添えながら腕を組み、
じいっと私の顔を覗き込んだ。
「…?」
私は言葉の先を待って、観月を見上げた。
観月「綺麗になりましたね、◯◯」
私は真っ赤になって、
パンフレットで顔を半分隠しながら、
ズサササァア!!
と、勢いよく後退した。
「あああありがとうございますぅう?!」
観月はしてやったりという顔で、
クツクツと笑っている。
えっ何何?!
観月さんこんなサラっと口説くタイプの人じゃなかったよ?!
初めてこんなこと言われたどうした?!
「◯◯だ!◯◯だ!」
柳生 「おや、◯◯さんですね」
丸井「えっ◯◯?…スゲェ!」
後方で野次馬が何か言ってる。
スゲェって何だよ?!
横目でチラと見ると、
学年1イケメンかもしれない丸井君がいた。
私がずっとショートカットでスカートなんか皆の前ではかなかったが、
今はロングヘアにワンピースだったからかもしれん。
物珍しそーに私の背後をジロジロ見る野次馬数人がやかましかったが、
ほっといてそのまま観月さんと話していたら、
きゃー!丸井先輩!ってなり、
隣に居た柳生も、
柳生先輩〜♡って知らぬ女子が来て、
えっここじゃ柳生もモテるの?となり、
よぉ!久しぶり⬛︎⬛︎
あれっ!はるかじゃん!!
つって、友が友を呼び、
気がつくと私達の周りに
元立海大メンバーがグラウンドにうじゃうじゃ集結。
「ごめん、やばいことになった…」
観月は肩をすくめる。
知らぬ人がグラウンドを見て、
「っえ?これ何の集まり?」って言ってた。
それから数年。
成人以降のパーティーでは、
会場入りしたら瞬く間にはるかは取り囲まれてしまい、
私ポツーンとなったので、
ビュッフェをモリモリ食べてました。
観月「◯◯?!あなたさっきから
食べてばかりじゃないですか」
ふぇっ?!っとビックリする私。
声のする方を見ると、
誰かと話していた観月さんが、
人をかき分けてヅカヅカ近づいてくる。
「え、らってわはし、食べにきた…」
観月「あのねぇ◯◯、こういう場は食事よりも
会話を楽しむための場所であって…」
「れも観月さんっ!これおいし…」
観月「まったく◯◯は…」
はぁああ、と、クソでかため息つかれました。
二次会はやんなって、
この時はるかと観月さんだけで喫茶店に行ったんだよね。
みちるは留学中。
某大学卒業してからは、
彼は確か医者になる予定でした。
「えっ!じゃあ私が風邪引いたらみてね!」
観月「ふふっ、あなたならそう言うと思いましたよ」
テーブルに頬杖をつきながら、呆れたように微笑む。
「割引きとかして?!」
観月「出来るわけないでしょう」
呆れた顔でピシャリと言われた。
観月「でも…まさか◯◯に彼氏(尾形)がねぇ…?」
はぁとしみじみため息をつく観月さんに、
えへへ、と困ったように笑うしか無い私。
はるか「いや、むしろこんな優良物件の
観月さんに彼女が居ないのが不思議だ」
観月「そうですか?僕も分からないんですよ」
「確かに…あれ?!婚約指輪無い!」
はるか「あぁもう◯◯は!!新しいの買ってもらいな」
観月「この机の真ん中にあるやつじゃないですか?」
「あったー!」
何かの拍子に抜けて、
テーブルクロスの模様と一体になってたんだよね。
その後、また会おうねって言ってから、
それっきり。
何でこんな仲良いのに
アドレス一度も交換したことないんだろうね?
はるかとみちるは、観月さんの連絡先知ってるのにね。
今どうしてるかなぁ。