第11章 手品系女子:高尾
店はピンクと白で統一されてて、まるでお姫様の部屋。
……ちょっと飽きる。
って、あれ? いなくね?
やべ、はぐれた?
あ、向こう側にいたわ。
そういやオレの好みあんま知らねーんだよな。
ちょっくら観察するとしますか。
どうやら好みのピン留めと指輪を見つけたらしい。
さっきから行ったり来たり、つけたりはずしたりと吟味してる。
がいなくなったときに商品を見てみた。
買えない値段じゃないし可愛いし、似合うんじゃね?
欲しいなら買えばいいのに。
店の外に出ると、少ししてが出てきた。
オレは知らないふりをして聞いてみた。
「どうだった? いいもんあった?」
「うん……けどいいや」
「何で? 買ってきたら?」
「ううん、いい……」
やっぱアレ欲しいんじゃん。
顔に書いてるし。
こういう素直なところもの可愛さの一つ。
ほっとけなくなるんだよな。
「もうこんな時間……帰ろっか」
「ん、わかった。じゃあダッシュでトイレ行ってくるわ、そこのベンチで待ってて!」
「急がなくていいよー、ふふ」