第5章 グイグイ系女子:日向
「……っ、順平 ! ! 」
「あ? どした」
最初はあたふたしてたけど、ようやく落ち着いてオレに体を預けた。
「……順平の心臓、ドキドキしてるよ……」
「こんな時に平常心でいられるかダアホ……」
お前の事考えるだけでいっぱいいっぱいだっつの。
「そっかぁ、一緒だったんだ……」
今にも寝そうな、少し掠れた甘ったるい声にさらにドキッとした。
「……何が?」
「ドキドキしてるの、いつも私だけだと思ってたよ……」
何でだよ。
オレだって口から臓器でるくらいバクバクしてんだぞ。
「なんか……いつも怒ってるし」
「怒ってねぇよ」
「ほらそれだよ」
どれだよ。まぁ自分でもそういう節があるのは分かってっけど、なおせねぇんだよな……。
「怒ってねぇから」
の頭をポンポンとなでると、「そっか。恋愛でも順平不器用なんだね」って言いながら少しくすぐったそうな顔をした。