第29章 スルー系女子:伊月
「えっと―」
「ふふ、ダジャレ言ってる時の俊、かっこいい」
ニッコリ笑顔でそんなこと言われたら、照れる。
そんなオレを見て、ふふっと楽しそうに笑う声。
それが嬉しくて、の頭をポンポンした。
上目遣いで照れ笑いして、黙って撫でられてる姿がまた心をくすぐる。
「可愛い、ほんとに」
「……もう」
顔が真っ赤。
照れ屋だな、付き合ってすぐの時からここは変わらない。
「あ……うふふ」
「ん? どうした?」
「あのねー凄く、ふふ、面白いダジャレ思い付いた」
え、ダジャレわからないんじゃないのか?
……わかるのか?
とりあえず、聞いてみよう。
「サバイバルで鯖威張る! うふふふ」
な……面白いし質が高い……!
まさか、こんな特技を持っていたなんて……。
「あれ? 面白くなかった?」
「いや……優秀過ぎて言葉が出ない」
これほど優秀なんじゃ、オレのダジャレが通用しないのも当然か。
不思議なスルーはこれからも続くかもしれない。
~End~