第29章 スルー系女子:伊月
どうしようかと考えていたら、がオレを真っ直ぐ見て言った。
「ダジャレ言ってる時の俊、キラキラしててかっこいいよ」
「え、ほんと?」
「うん、ほんとだよ……」
途中から照れたのか、声が小さくなって俯いてしまった。
可愛い……。
ホント可愛い。
キス、していいかな。
顔を近づけると、気付いて顔を上げた。
オレが何をしたいのかも気付いて、目を瞑ってくれた。
あ、もうダメだ、抑えられない。
と思いつつ優しくキス。
だって抑えないわけにはいかない。
大切にしたいんだから。
唇を離して、少し離れようとした。
けど、が腕を掴んで離さなかった。
……こんなに、積極的だったかな。
「ねぇ、ダジャレ、聞かせて」
「え、いいのか?」
「うん、聞きたい」
そうだな、今にピッタリなダジャレは……。
そうだ!
「ホッチキスのキス、キタコレ!」
が黙って見ている。
何がダジャレかわかっていないんだろうな。
どこがダジャレなのか説明するこの瞬間が最も苦しいんだ!