第1章 *プロローグ
征十郎はきっと今頃彼らに別離の挨拶をしているところだろう。
キセキの世代と呼ばれた、本当に奇跡のようなあの5人に…。
そのときふと、目の前に水色の頭が見えた。
「っ黒子くん!」
人混みを上手にすり抜けて歩いていく彼は私の声に振り返った。
「…さん。」
彼はその澄んだ目で私を見ていた。
「えっと…。」
駆け寄ったものの、かける言葉がなくてうつむく私を黒子くんは笑った。
「ご卒業おめでとうございます。」
「え、あ、黒子くんもおめでとう。」
全中三連覇の後、バスケ部をやめた黒子くん。
進路とか、これからどうするのかとか、聞きたいことはあったけど、黒子くんの目はあの頃と同じままでちょっと安心した。