第1章 *プロローグ
「優勝した僕に対して称賛も労いもないのか。別に、僕の指示じゃない。」
征十郎はそう言って私を抱き寄せる。
「でもこれじゃ、みんなばらばらに…。」
「何か勘違いをしてないか。」
私の抗議を遮るように、征十郎は冷たく言い放った。
「僕らは敵対する運命なんだ。お互いの力が強すぎて共存なんてできない。」
「でも大丈夫って…。」
「、君が望むべきなのは…僕と二人でいることじゃないのか?」
征十郎の色違いの目が私を捕らえる。
「みんなといるのが大好きと言ったね。僕と二人でいるときと、どっちだい?」
答えられなかった。
本気で怒っているときの目だ。
黙っている私を見て征十郎は笑った。