第14章 僕のストーカー(逢坂紘夢)
ある日の放課後。
僕は書店に寄り道し、雑誌を立ち読みしていた。
映画紹介のページで気になる映画を見つける。
この映画、劇場で観たいな。
あの子が弁当を作ってくれるから、昼食代が浮いて小遣いに余裕もあるし…。
えっと…いるかな?
僕は店内を見渡す。
いたいた、少女漫画のコーナーに。
僕はそっとそっちに歩み寄る。
「神田さん」
「ふぁっ? あっ、えっと、あの…せ、先輩も書店に? すごい偶然ですね…」
僕は神田さんの言い訳をさえぎって、言いたいことを話す。
「君、演劇部なら映画とか好きだろ? 僕、観たい映画があるんだけど一緒に行かない?」
「えっ…どんな映画ですか…? あ、ちがっ…行きます!どんな映画でも」
「ふふ、この雑誌を買ってくるから待ってて。隣のカフェで相談しよう」
「はいっ」
僕は雑誌を持ってレジに向かう。
もちろんカフェの代金は僕が払おう。
映画のチケットも。
神田さんは僕の観たいSFよりも、隣のページのラブストーリーが観たいかもな。
まぁその辺はこれから相談して決めよう。
fin