第14章 僕のストーカー(逢坂紘夢)
放課後、部活を終えて文芸部の部室を出る。
僕は一人で廊下を歩く。
17時か…彼女は今頃何してるかな。
今日は習い事のない日だから、家でのんびりしてるかな。
宿題や予習をしてるかな。
夕飯の準備の手伝いをしているかもなぁ。
彼女の行動を想像して僕の口もとがほころぶ。
「先輩! 逢坂先輩っ」
ん? 僕の名を呼ぶ女子の声。
文芸部の子かな?
部室に忘れ物でもしたかな…
僕は振り返る。
?
知らない子。
人違いかな?
僕は前を向き直して歩き出す。
「ま、ま、待ってくださいっ、逢坂先輩!」
「僕?」
一応、立ち止まる。何の用だろうか。
「はいっ、先輩…。あの…あの…」
「……?」
なんだろう。用があるなら早く言って欲しい。
「私っ、1年E組の神田愛といいます。えと…演劇部です…」
そこから? どうでもいいんだけど。
思わず僕の口から小さなため息が漏れる。
「私…逢坂先輩のことが好き…なんです。私と付き合ってくださいっ」
……。
「は?」